(ブルームバーグ):14日の東京外国為替市場で円は一時1ドル=146円台後半まで反発。トランプ米政権による関税の脅威が再燃し、国内外の株安を背景にリスク回避の円買いが優勢だ。
円は貿易摩擦への警戒感に加え、前週末に下落した反動もあり、ポジション調整から買いが先行。その後、参院選での与党過半数割れへの警戒などから、一時3週間ぶり安値まで売られる場面もあったが、日本株や欧米の株価指数先物が下落する中、買い優勢に転じている。
外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は「これまで円を買っているのは海外投機筋が中心」と指摘。国内では個人を含めた投資家が円を売り越していると推察されるため、東京市場でリスク回避の展開になると「円を買い戻すニーズの方が強い」との見方を示した。
トランプ米大統領は12日、メキシコと欧州連合(EU)に対し30%の関税を課すと表明。今後の交渉で条件が改善されなければ、8月1日から適用すると伝えた。ブラジルやカナダに対する措置と同様に関税水準を微調整しつつ、交渉の余地を残す姿勢も示した。
先週の対カナダ関税発表時には、日本にも強硬姿勢を示すとの見方から円が売られた経緯がある。日米交渉の難航、参院選を巡る財政拡大懸念や日本銀行の利上げ観測後退により、一段の円高余地は限られる可能性もある。
野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは14日のリポートで、20日の参院選に向け財政や金融政策が拡張的になるとの期待が「円安圧力としてくすぶることになりそうだ」と記した。
(円の水準を更新し、第3段落にアナリストのコメントを追加)
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