トランプ米政権幹部が、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長について、連邦準備制度の「運営をひどく誤った」と批判し、首都ワシントンの本部改修工事について詳しい情報の提供を求めた。

行政管理予算局(OMB)のボート局長はパウエル議長に宛てた10日付の書簡で「大統領は、あなたの連邦準備制度の運営に対して極めて深刻な懸念を抱いている」とした上で、「財務改善を図るどころか、首都ワシントンの本部について過剰な改修計画を推進している」と指摘した。

米利下げを迫る広範な圧力の中で、トランプ大統領や政権幹部、議会共和党の一部がパウエル議長に厳しい目を向けている。連邦準備制度が今年、金利を据え置いていることにトランプ氏はいらだちを強めており、大統領や政権当局者はパウエル氏を繰り返し非難している。

トランプ氏は8日、本部改修に関しパウエル氏が議会に誤解を与えたとする政権当局者の主張が事実なら、「即刻辞任すべきだ」と主張した。

現在、連邦準備制度はワシントンにある歴史的な建物2棟の改修を進めているが、予算資料によると、今年の費用推計は25億ドル(約3700億円)と、2023年の19億ドルから増加した。「特に機械、電気、配管関連の工事で、競争入札価格の上昇によって工事の見積額がさらに膨らんだ」という。

ボート局長は「他の連邦政府建物の改修費用は、あなたが税金で工事を進めているオフィスより桁違いに低い」と書簡で指摘した。この書簡はソーシャルメディアに投稿された。

連邦準備制度はコメントを控えた。

上院証言

ボート局長は書簡で、パウエル氏が先月上院で行った、改修計画に関する証言にも言及した。一部メディアは改修工事の内容が過剰だと報じ、パウエル氏は共和党のスコット上院議員の指摘に対し、そうした内容をおおむね否定した。

パウエル氏は6月25日の証言で「VIP用の食堂もなければ、新しい大理石も使われていない」と発言。「特別なエレベーターはなく、以前からある古いものを使っている」などと述べた。また、計画は「継続的に見直されており」、従来案の一部は「現在の計画に含まれていない」と述べた。

これに対しボート氏は、パウエル氏の証言は、改修計画が関連法を順守しているか「重大な疑問」を招いていると指摘。「承認された計画からの軽微な逸脱は避けられないとしても、あなたの証言は、主要な設計内容に関して承認された計画に沿っていないようだ」と主張。計画に関する11の質問に対して、7営業日以内の回答を求めた。

米連邦住宅金融局(FHFA)のパルト局長も、改修計画に関するパウエル氏の証言の信ぴょう性に疑問を呈し、議会に調査を求めている。金利政策を巡るパウエル氏の姿勢に強く反発してきたパルト氏は、パウエル氏は辞任すべきだと主張している。

トランプ氏は、パウエル議長の26年5月の任期満了に伴い、低金利を選好する人物を次期FRB議長に指名する考えを示している。

ホワイトハウスのハセット国家経済会議(NEC)委員長は10日、連邦準備制度の「透明性の欠如」についてトランプ氏が「次の対応」を検討していると述べた。

FOXビジネスとのインタビューで、トランプ氏が次期議長に指名する人物について「膨張する支出や、黒字が長年続いた後に赤字に陥ったことに細心の注意を払う」人物になるだろうと語った。

さらにハセット氏は、米金融当局が関税の影響を説明するモデルを公表していない点について「失望している」と発言。米国の金利が欧州の金利とかい離している現状を挙げ、「連邦準備制度が政治的中立を欠き、独立していない可能性があるとの懸念を呼び起こす」と話した。

原題:White House’s Vought Pressures Powell Over Fed Renovation (2)、Fed Has ‘Disappointing’ Lack of Transparency, Hassett Says(抜粋)

(11段落目以降に政権幹部の発言などを追加して更新します)

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