米セントルイス連銀のムサレム総裁は10日、インフレ率には上昇リスクがあると述べた。ただ関税が物価に与える影響が長期化するかどうかは、現時点ではまだ分からないという。

「関税が落ち着くまでには時間がかかる」とムサレム総裁はセントルイスで開かれた公開討議で発言。「今年の第4四半期、あるいは来年第1、第2四半期になってもまだ、関税による経済への浸透が終わっていない可能性はシナリオとして十分考えられる」と述べた。

連邦公開市場委員会(FOMC)は今年、政策金利を据え置いているが、年内の利下げ回数予想でメンバーの見解は割れている。

6月17-18日開催分のFOMC議事要旨によると、当局者の間で金利見通しに開きがあり、その主な要因は関税がインフレに与える影響を巡る見解の相違だった。議事要旨には「数人の参加者は関税が一時的な物価上昇を引き起こすものの、より長期のインフレ期待には影響しないと指摘した。しかし大部分の参加者は、関税がインフレに対しより持続的な影響を及ぼすリスクがあると主張した」と記された。

ムサレム総裁は5月、関税措置が米経済への重しとなり、労働市場を軟化させる可能性があるとの見解を示していた。

次回FOMCは29-30日に開催される。先物市場の織り込み具合によれば、投資家は9月の利下げを見込んでいる。

ムサレム総裁は10日の公開討論で、新型コロナ禍で物価急騰を経験した消費者は今も敏感になっているとして、インフレ期待を引き続き抑えることの重要性を強調した。

関税によるインフレへの影響は現時点でまだ穏やかだが、6月から9月にかけてのデータに表面化し始めるとの見方を示した。

「年末にかけて時間の経過とともに、関税の総合的な影響を把握しやすくなるだろう」とムサレム総裁。「完全な確実性ではなくても、方向性を確信する上で十分な確信を得たい」と述べた。

原題:Fed’s Musalem Says Too Soon to Know Inflation Impact of Tariffs(抜粋)

(第7段落以降にムサレム総裁のコメントなどを追加します)

--取材協力:Maria Paula Mijares Torres.

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