(ブルームバーグ):日産自動車はドル建ておよびユーロ建ての社債を発行し、総額45億ドル(約6600億円)を調達する。巨額赤字を受けて財務基盤の立て直しを急ぐ中、発行利率は最大8.125%と同社として過去最高になり、旺盛な投資需要が集まった。
日産は10日、ユーロ建てで13億ユーロ(約2200億円)、ドル建てで30億ドルを起債した。ユーロ建ては4年債(利率5.25%)と8年債(6.375%)、ドル建ては5年債(7.5%)、7年債(7.75%)、10年債(8.125%)を発行する。ブルームバーグのデータによると、これまでの最高利率は1986年発行の10年債で7.5%だった。
経営戦略に対する懸念がくすぶる中でも、事情に詳しい関係者によると約110億ドルの投資家需要が集まった。日産は2025年3月期に約6700億円の最終赤字を計上しており、収益構造の再構築に向けて、約2万人の人員削減や工場再編などの構造改革を進めている。
今回はS&Pグローバル・レーティングとムーディーズ・ジャパンの信用格付けが投機的等級(ジャンク級)に下がってから初の外貨建て起債だった。旺盛な需要を受け、発行額は当初予定した40億ドルから増額された。
市場では資金調達コストや利払い負担の増加への懸念が強い。信用リスクの指標であるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は8日、09年以来の高水準を記録した。ブルームバーグの集計によれば、同社およびグループ会社は25年から26年にかけて、計約1兆円の社債償還を控えている。
米調査会社クレジットサイツで自動車業界を統括するトッド・ダヴィック氏は「投資家は日産の再建計画に懐疑的だ」と指摘。「同社はコスト削減や商品開発、販売への投資に向け健全な資本と流動性が必要で、投資家はそれを織り込んで比較的高いクーポンを要求した」と述べた。
関係者によれば、ユーロ建てでは4年債に23億ユーロ超、8年債に18億ユーロの需要が集まった。ドル建ての3本立て起債については、60億ドル強の注文が入っていたという。
(第1段落以降に、投資家需要について詳細を追記しました)
--取材協力:Umesh Desai、鈴木克依、Hannah Benjamin-Cook、Michael Gambale、Kevin Kingsbury.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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