(ブルームバーグ):石油輸出国機構(OPEC)は10日に公表した年次報告書で、世界の石油需要は今世紀半ばまで増加を続けるとの見通しを示し、業界内でも少数派とされる見解を改めて強調した。
OPECは、2050年までに世界の石油需要は約19%増加し、日量約1億2300万バレルに達すると予測している。日量の予測は昨年9月時点より300万バレル増加した。OPECは、インドが需要拡大をけん引することや、米国のトランプ大統領によるパリ協定からの離脱決定が、この見通しの背景としている。
この見解は業界内でも主流とは言い難い。英BP、バンク・オブ・アメリカ(BofA)、国際エネルギー機関(IEA)、ウッド・マッケンジーといった多くの予測機関は、世界最大の石油消費国である中国にピークの兆しが見られる中、今後10年以内に石油需要の増加は頭打ちになるとみている。科学者らは、OPECが描くような制限のない化石燃料の燃焼が、環境破壊を引き起こすと警告している。
再生可能エネルギーへの移行が難航する中で、近年の石油需要は予想を上回る推移を見せている。サウジアラビアが主導するOPECは、需給に関する市場の一般的な見方は意に介さず、過去数カ月にわたり原油供給を増やしてきた。
とはいえ、OPECの予測は、近年大きく外れる傾向が続いている。24年の石油需要見通しでは業界の平均より強気な見方を示していたが、結果的に6カ月連続で予測を見直し、累計32%下方修正した。23年には大幅な減産を発表した一方で、想定していた在庫ひっ迫は実現しなかった。
原題:OPEC Fortifies Outlier View That Oil Demand Will Grow to 2050(抜粋)
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