7日の米株式市場でテスラが下落。同社のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が新政党の設立を発表し、本業への重しとなっている政治活動に一層踏み込んだことが嫌気された。

マスク氏は先週末、X(旧ツイッター)への投稿で「アメリカ党」の設立を発表。「大統領候補を支持する可能性を排除しないが、今後1年間は上下両院にフォーカスする」とした。

テスラの株価は6.8%安で終了。トランプ米大統領の減税法案を巡り6月初旬に同氏と対立して以来の大幅下落となった。ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、マスク氏の純資産は153億ドル(約2兆2300億円)消失した。

マスク氏の政治的活動がテスラ車への不買運動につながり、同社株は年初から27%下げている。

ウィリアム・ブレアの株式アナリスト、ジェド・ドーシャイマー氏は「マスク氏による事業への注力が最も必要とされているこの局面に、同氏が再び政治に関与する動きを見せたことで、投資家の間で不満が高まっている」と7日のリポートで指摘。テスラの投資判断を「ホールド」相当に引き下げた。

動画:ブルームバーグTVでテスラについて語るウィリアム・ブレアのジェド・ドーシャイマー氏

新たな政党に資源と関心を注ぐというマスク氏の動きは、テスラの前回の決算説明会で投資家に語った方針と矛盾する。マスク氏はトランプ政権での業務が5月に終了した後は、テスラに「より多くの時間」を割くことになると話していた。

ウェドブッシュ・セキュリティーズのアナリスト、ダニエル・アイブス氏はブルームバーグテレビジョンに対し、「取締役会が関与せざるを得なくなるだろう」とし、テスラ支持者としていら立ちを感じていると語った。「マスク氏は今、越えてはならない一線を越え始めている」と同氏は続けた。

マスク氏およびテスラのロビン・デンホルム会長は、コメントの要請に応じなかった。

原題:Tesla Slides on Concern Musk’s New Party Will Worsen Slump (3)(抜粋)

(株価を更新し、最終3段落を追加します)

--取材協力:Jonathan Ferro、Annmarie Hordern、Subrat Patnaik.

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