欧州連合(EU)は、対米貿易交渉で今週中の暫定合意を目指している。トランプ米政権が課す上乗せ関税の停止期限が到来した後も、恒久的合意に向け協議を続ける間、関税率を一律関税(10%)分だけに固定しておきたい意向だ。

事情に詳しい複数の関係者によれば、EUは航空機・同部品、ワイン、蒸留酒を含む特定の主要品目については、10%の税率を免除するよう求めている。大筋合意に何らかの軽減措置が盛り込まれることも想定される。

関係者によると、トランプ政権が発動した自動車・同部品への25%の追加関税、鉄鋼・アルミニウムへの50%の追加関税を実質的に引き下げることを狙い、EUは割当枠と減免措置も引き続き要求している。だがそれらの関税分野で速やかな打開は見込めない。

トランプ大統領は7日、貿易相手国・地域に課す上乗せ関税の停止期限を8月1日に延長する大統領令に署名した。大統領は今年5月、EUからの輸入品に50%の関税を課す考えを示し、EUは発動期限とされる9日より前に合意をまとめる必要に迫られている。

米政治専門サイト、ポリティコはEUの外交当局者と加盟国当局者から情報を引用し、慎重な扱いを要する航空機、蒸留酒といった若干の例外を除き、EUからの輸入品に課す税率を一律関税の10%にとどめる合意案を米側が提示したと伝えた。

EUの執行機関、欧州委員会は7日、フォンデアライエン委員長とトランプ大統領の6日の電話協議を経て、貿易合意の枠組みがまとまりつつあると明らかにした。

欧州委の報道官は記者団に対し、「良いやりとりが行われた。少なくとも大筋合意に向け大詰めの協議の始まりと言える」と述べた。同委はこの日、対米交渉の現状を加盟各国に説明した。

グローバルXマネジメントの投資ストラテジスト、ビリー・レオン氏は「欧州は明らかに良いディールに近づきつつある」と指摘し、EUが日本や韓国といった米国の貿易相手国より良い状況にあるようだと認識を示した。

初期の合意は短期的で、法的拘束力がないものになる可能性が高い。米とEUは非関税障壁、デジタル貿易、経済安全保障に関する一致点も探っている。

 

トランプ氏は国内製造業の復活や減税延長の財源確保、他の国・地域が米国から不当に利益を享受してきた状況も理由に挙げ、ほとんどの貿易相手国・地域に高率の関税を発動した。

EUの交渉担当者らは先週末、大幅な関税引き上げを回避すべく、暫定合意に向け米側と協議を続けた。ドイツのメルツ首相は、フランスのマクロン大統領、イタリアのメローニ首相、フォンデアライエン氏と電話で会談し、米国との貿易摩擦を回避する方策を話し合った。

メルツ首相の首席報道官は7日、ベルリンで記者団に対し、「時間がなくなりつつある。私は常に楽観的だが、欧州委は複数のシナリオを想定して動いている」と語った。

原題:EU Rushes to Conclude Framework Trade Deal With US This Week (1)、EU Says It’s Making Progress on Framework Trade Deal With US (2)(抜粋)

(ストラテジストの見解を追加して更新します)

--取材協力:Katharina Rosskopf.

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.