ドイツの年金基金が中国企業の香港法人を通じ、中国株に新たに投資している。グローバルな資産運用機関としては異例の動きだ。

事情に詳しい関係者によると、運用資産総額341億ユーロ(約5兆8100億円)のKZVKは、4-6月(第2四半期)に5000万ドル(約73億円)を富国資産管理(香港)に託した。委託の目的は、中国本土や香港、米国に上場する中国企業の株式への投資だという。非公開情報だとして関係者が匿名を条件に語った。

中国および香港の株式市場は、昨年9月以降の一連の経済刺激策を受けて小幅な相場上昇を見せている。しかし、過去数年にわたる株安は、多くの長期投資家にとって想定外だった。

中国・香港株値下がりの背景には、規制強化や経済の減速、地政学的な緊張の高まりなどがあり、中国株への新たな運用委託は少なく、既存案件の更新が大半だとアナリストらは指摘している。

コンサルティング会社マーサーでアジア地域のマルチアセット責任者を務めるキャメロン・シスターマンズ氏は、「欧州や米国の資産オーナーが大中華圏を対象に新たな運用委託を行う大きなトレンドは見受けられない」と説明。同社は顧客に対し、特定の国に長期戦略的な傾斜をかけない株式ポートフォリオ構築を勧めていると明らかにした。

教会系の年金基金であるKZVKの担当者はコメント要請に応じなかった。富国資産の広報担当者もコメントを控えた。

原題:German $40 Billion Pension Gives Mandate to China Stock Fund (1)(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.