(ブルームバーグ):ベトナムの2025年4-6月(第2四半期)の国内総生産(GDP)成長率が加速した。米国の高関税発動を警戒した外国勢が輸入を前倒ししたことが追い風となった。
同国の統計総局が5日に発表したデータによると、4-6月のGDPは前年同期比7.96%増と、ブルームバーグがまとめたエコノミスト8人の予想中央値( 6.85%増)を上回った。1-3月(第1四半期)の改定値は7.05%増だった。
統計総局によると、1-6月(上期)の成長率は7.52%となった。「第2四半期と上期の経済実績はグローバルおよび地域の不確実性が続く中でも、設定された目標に近づく非常に前向きな成果を収めた」と同局は説明した。4-6月の成長率は、タン財務相が3日に示した7.67%という見通しも上回った。
トランプ米大統領は今年4月、ベトナムからの輸入品に46%の上乗せ関税を課すと発表したが、その後の交渉により税率を20%に引き下げることで合意した。ただ、ベトナムを経由する迂回(うかい)輸出品への関税率は40%とした。世界有数のブランド企業の生産拠点としての地位が、中所得国を目指すベトナムの意欲的取り組みを後押ししてきたが、交渉が妥結したことで、その地位は保たれそうだ。
セクター別では製造業が上期に10.1%増と、成長のけん引役となった。輸出も14.4%増加し、貿易黒字は76億3000万ドル(約1兆1000億円)に達した。
4-6月の成長加速は、今年8%以上、将来的に2ケタ成長を目指す政府にとって朗報だ。ファム・ミン・チン首相は国内経済について、「大きな制約や困難、課題になお直面している」との認識を示し、各省庁と地方政府に対し、経済活性化に向け思い切った対策を講じるよう命じた。

原題:Vietnam’s Growth Surges as Buyers Race to Beat Trump Tariffs (1)(抜粋)
--取材協力:Giang Nguyen、Linh Vu Nguyen.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.