AIの未来を左右する壮大なプロジェクト「スターゲート計画」。この計画の背景、そしてAIがもたらす未来とは?OpenAIのトップであるサム・アルトマンCEOに、テキサス州アビリーンで建設が進むスターゲートの巨大施設を独占取材したブルームバーグのエミリー・チャン氏が聞きました。

AIの需要を満たすには「史上最大のインフラが必要」

エミリー・チャン(以下、エミリー): こんにちは。お会いできて嬉しいです。テキサス州アビリーンで起きていることを見てきましたが、すごいですね。スターゲート計画が始まる前の話を聞かせてください。何がきっかけで、より高い処理能力、電力、接続環境が必要だと感じたのですか?

OpenAI サム・アルトマンCEO(以下、アルトマンCEO):こんにちは。以前はAIモデルのトレーニングに必要な処理能力ばかりを考えていましたが、実際にどれだけの人がAIを使うかについてはあまり深く考えていませんでした。多少は予測していましたが、想像をはるかに超えていたのです。

数年前、GPT-4やChatGPTを発表した頃、もともと膨大な処理能力が必要だと感じていましたが、その時に史上最大のインフラが必要だと実感しました。それがサプライチェーンの限界について考え始めるきっかけとなり、スターゲート計画の始まりです。ここに辿り着くまでに様々なことをしました。マイクロソフトなどと組んで、巨大な処理基盤を築きましたが、スターゲート計画はまさにその次のステップです。

エミリー: あなたは世界中を旅し、色々な人と話しましたよね。孫正義さんやラリー・エリソンさんとは、どのように出会い、協力を得たのですか?

アルトマンCEO: 孫さんとは長い付き合いです。確か2023年に、世界中を旅するために2回の長期出張をしました。開発者や政府関係者と話す目的以外に、サプライチェーンを理解するためでした。それまで、この規模の計算能力を稼働させるために何が必要か、具体的に考えていなかったのです。

非常に複雑な問題でした。出張中に孫さんと話しました。孫さんは長年、チップの製造や工程について考えていた方です。スターゲート計画規模の計算能力を作り出すために何が必要かという話をしました。わかるまでに時間がかかりましたが、複雑なサプライチェーンで多くのパートナーと多額の資本が必要になるという結論に至りました。

エミリー: ソフトバンクは金融パートナー、オラクルは技術パートナーとのことですが、マイクロソフトだけでは難しかったのでしょうか?

アルトマンCEO: マイクロソフトからは多大な支援を受けており、本当に感謝していますが、1社だけでは足りないのです。マイクロソフトは多くの計算処理を担ってくれていて、その点については感謝しかありません。