(ブルームバーグ):世界最大のスポーツ用品メーカー、米ナイキは26日、6-8月(第1四半期)の業績に楽観的な見通しを示し、エリオット・ヒル最高経営責任者(CEO)の戦略が効果を上げ始めていることを示唆した。これを受け株価は時間外取引で急伸した。
ナイキの株価は米東部時間午後6時11分(日本時間27日午前7時11分)時点で11%上昇。通常取引終値では年初来で17%下落していた。
同社は6-8月期の売上高が「1桁台半ば」の減少になるとの見通しを示した。これは市場予想よりも小幅な減収で、3-5月(第4四半期)の11%減収から改善を見込む。一方で、通期見通しについては、関税や需要に関する不確実性を理由に提示しなかった。
ヒル氏は決算説明会で投資家やアナリストに対し「今後の回復に向けた明確な道筋が見えてきた」と語り、「ここから業績は改善していく。次の段階に進む時だ」と述べた。
昨年10月に引退から復帰しナイキCEOに就任したヒル氏は、過去数年の戦略ミスからの立て直しを進めている。関税や消費低迷、競争激化なども障害となってきたが、小売業者との関係強化や製品開発への投資、スポーツ分野への回帰を再建の柱に据えている。
3-5月決算では、在庫整理を進めたことで売上高がアナリスト予想を上回った。
3-5月売上高は11%減の111億ドル(約1兆6000億円)。ブルームバーグが集計したアナリスト予想平均より小幅な減収にとどまった。ナイキは以前、「10%台半ば」の減収率になるとの見通しを示していた。
トランプ米大統領が多数の貿易相手国に対し関税を引き上げたことはナイキの事業にも引き続き重くのしかかっている。マット・フレンド最高財務責任者(CFO)は、「現在のダイナミックで不確実な環境を乗り切ることができる」と確信していると述べた。
ナイキは関税でコストが約10億ドル増加すると見込んでおり、その影響を軽減するため、「的を絞った」値上げを計画している。米国に輸入されるナイキの靴製品のうち、中国製は約16%を占めているが、同社はこれを年度末までに1桁台後半に引き下げる方針で、生産は他国に再割り当てする予定だ。
原題:Nike Rises After Predicting Its Sales Slump Has Hit Bottom、Nike Sales Drop Less Than Expected as CEO Clears Inventory (2)(抜粋)
(関税の影響と値上げ計画などを追加して更新します)
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