(ブルームバーグ):財務省が24日に実施した20年利付国債入札の応札倍率は過去12カ月平均を下回り、結果は「弱い」との評価が市場で出ている。超長期債の構造的な需給悪化が払拭されていないことを示唆した。
入札結果によると投資家需要の強弱を反映する応札倍率は3.11倍だった。過去1年の平均は3.31倍。大きいと不調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は28銭と前回の1円14銭から縮小したが、結果を受けて債券先物は下落幅を一時拡大、現物債では20年債や30年債利回りが上昇した。
明治安田アセットマネジメント債券運用部の大﨑秀一シニア・ポートフォリオ・マネジャーは「入札は弱い結果」と述べた。来週には30年債入札、2週間後には再び20年債入札があるとして「投資家は積極的に買う必要はないと判断したのではないか」としている。
財務省は23日、2025年度の国債発行計画の見直しを決定した。最近の金利上昇を踏まえて20年債は1回当たり2000億円減らす。30、40年債を含めた超長期債発行は計3兆2000億円減る。日本銀行も26年4月から国債買い入れ減額幅を圧縮する。それでも財政拡張懸念を背景とした金利先高観から、生命保険といった投資家は応札に依然として慎重だ。
財政
超長期ゾーンの金利は財政赤字への懸念から世界的に上昇している。日本ではトランプ米大統領が同盟国に防衛費増額を要求するとの観測が浮上したほか、7月の参院選を前に各政党が票獲得に向けて現金給付や減税といった財政負担の大きい政策を計画している。

日本での超長期債の発行額は年限別の構成比では小さいが、発行額から償還額を差し引いた純供給額は全体の90%以上を占める。その分、投資家が手を出さなくなった場合は需給バランスが崩れやすい。さらにトランプ氏がイスラエルとイランが停戦で合意したと表明するなど、中東情勢を巡る状況も一段と複雑化しており、市場の先行き不透明感を強めている。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤原和也債券ストラテジストは、この日の入札について「来週の30年債は発行額が減額される初めての入札となるため、そこを見極めたいという投資家が多かったのではないか」と述べた。
--取材協力:日高正裕.
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