(ブルームバーグ):全国銀行協会の半沢淳一会長(三菱UFJ銀行頭取)は19日、日本の財政赤字拡大に歯止めがかからない場合、国債の将来的な安定消化に懸念が生じると警鐘を鳴らした。同日の定例記者会見で述べた。
半沢氏は日本の債務残高が先進国で突出して高い状況に言及。今後も財政赤字が拡大すれば「国債の安定消化が困難になる可能性もある」との認識を示した。足元の超長期金利の上昇にも触れ、需給バランスが崩れていることから、財政規律の維持や保有者層の多様化など幅広い議論が行われることが望ましいとした。
日本銀行に替わる国債の買い手として期待される銀行業界のトップが財政への懸念を示したことで、政府には財政規律への配慮が改めて求められそうだ。イギリスでは2022年、政府の大型減税策を巡って金利が急騰するトラス・ショックが起きた事例もある。
日銀は17日まで開いた金融政策決定会合で、2026年4月から国債買い入れの減額幅を圧縮することを決めた。半沢氏は、買い入れ減額分について、生命保険会社や海外投資家、銀行などが購入の受け皿になり得ると指摘。利回り上昇を受けて個人向け国債の販売も増加していることから、「投資家層の拡大が進む可能性もある」と述べた。
米トランプ政権の関税政策を巡っては、日米交渉が合意に至っておらず「引き続き不確実性が高い」と話した。輸出減速による製造業への悪影響や、雇用・家計の所得への波及に懸念を示した上で、日米間の交渉が続いており「協議が日本経済にとってよい形で決着することを期待しつつ、経済・金融市場の動きに注意深く目をこらす」と語った。
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