(ブルームバーグ):ベトナムの実業家ファム・バン・トアン氏は、石炭採掘と火力発電で築いた財をもとに、3年前から高級リゾート事業に投資の軸足を移した。ホテルやゴルフ場の取得に加え、20年来の夢だったスーパーヨットも購入した。
イタリアの造船会社アジムットが建造し、今年初めに引き渡されたヨットは、ベトナムで初めて販売された30メートル超の新造スーパーヨットだと、アジムットの広報担当者が述べた。
ファム氏(59)は、このヨットを活用して観光産業の拡大を目指している。アジムットの現地販売代理店タム・ソン・ヨッティングと提携し、ユネスコ世界遺産であるハロン湾の中心部に高級マリーナを開発し、ヨットをプライベートチャーター用に提供する予定だ。
ファム氏は「ベトナムのヨット産業はまだ始まったばかりだが、可能性は非常に大きい」と電子メールで述べた。
同氏はヨット需要の高まりを支える背景として、ベトナムの急速な富裕化に注目している。移住支援コンサルタント会社のヘンリー・アンド・パートナーズによると、ベトナムで100万ドル(約1億4500万円)以上の資産を持つ富裕層人口は、2013-23年にかけて世界で最も急速に増えた。
中国では「共同富裕」のスローガンや高税率が富裕層向け市場の拡大にブレーキをかけているが、ベトナムは依然として開拓余地が大きい。アジムット・ベネッティ・グループのマルコ・バッレ最高経営責任者(CEO)は「中国の若い富裕層は旅行志向が強く、国内でヨットを所有・使用する傾向はあまり見られない」と語る。
一方、タム・ソン・ヨッティングで商業・事業開発責任者を務めるブー・チャン氏によれば、ベトナムでは近年、急速に需要が拡大している。「18年には60フィート(約18メートル)のヨットが大きいとされていた」が、「今では85フィート以上の注文も入ってきており、本格的な市場拡大の段階に入っている」と同氏は述べた。
イタリアの高級ヨットブランド、サンロレンツォをアジアで展開するシンプソン・マリンも、昨年からベトナム市場に参入した。同社のマーケティング・サステナビリティー責任者、エバ・スタフルスカ氏は、高級品市場が成熟しつつあり、ヨットやプライベートジェットといった「より超富裕層向け」の体験を求める顧客が現れていると述べた。
原題:Ultra Rich Turn Vietnam Into New Hot Spot for Luxury Yachts (1)(抜粋)
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