(ブルームバーグ):イスラエルとイランの紛争が14日夜に激化。イランがイスラエルに再びミサイルを発射した一方で、イスラエル空軍はイランの首都テヘランを空爆した。
今回の危機はイランのエネルギーインフラにも及び、イスラエルによる攻撃で、イランの南パルス天然ガス田に関連する天然ガス処理施設で爆発が起きたと、イランの半国営タスニム通信が伝えた。
イランは同日その後、イスラエルのテルアビブやハイファなどの都市に向けてミサイルと無人機による攻撃を行ったと発表。イスラエルは、ミサイル発射を探知し、防空システムで迎撃にあたったと説明した。
イスラエル北部の西ガリラヤ地方では14人が負傷したと、同国の救急当局が明らかにした。
イスラエルのネタニヤフ首相は、イランが13日夜と14日朝にイスラエルの複数の都市に弾道ミサイルを発射したことを受け、イランの「アヤトラ政権のあらゆる施設、あらゆる標的を攻撃する」と表明した。少なくとも3人が死亡した。
戦闘の激化を受け、イランは15日にオマーンで予定されていた米国との核協議を中止した。イランのアラグチ外相は、イスラエルの攻撃を受けて協議を行うことは「正当化できない」と述べた。
トランプ米大統領は、イランの核活動の制限と経済制裁の緩和に向けた外交合意を目指しており、自身のソーシャルメディアに「このイスラエルとイランの戦争は終わらせるべきだ」と投稿した。
湾岸アラブ諸国も、戦闘が拡大すれば自国が攻撃を受ける恐れがあると懸念し、事態の沈静化に向けた外交努力を強化している。サウジアラビアのムハンマド皇太子は、イランのペゼシュキアン大統領と会談し、自制を促した。
中東情勢の一段の緊迫化で13日の金融市場は動揺。原油相場が7%急伸し、安全資産への需要で金相場は大幅上昇。S&P500種株価指数の下げは1%を超え、今週の上昇分を全て失った。
イランは13日夜から、イスラエルの都市に向けてミサイルと無人機による攻撃を数回にわたって仕掛け、その一部が同国の防空システムを突破した。米軍はイランから発射されたミサイルなどの迎撃に協力した。

イランの主要核施設に深刻な被害-IAEA
国際原子力機関(IAEA)によると、イスラエルによる空爆でイランの主要な核施設が深刻な被害を受け、イランのウラン燃料サイクルが何カ月も遅れる可能性がある。
イランがIAEAに通告
イランはIAEAに対し、イスラエルが最近の攻撃でフォルドウとイスファハンの核施設を攻撃したと通告した。IAEAのグロッシ事務局長が13日、国連安全保障理事会で明らかにした。
衝突はイスラエル以外にも「拡大する」
イランは、衝突が近くイスラエルを超えて域内の米軍基地にも「拡大する」と指摘した。同国のファルス通信が軍関係者の話として報じた。
米との核協議もはや「無意味」
イラン外務省のエスマエイル・バガイ報道官は「相手側が対話を無意味にする行動を取った」と述べた。ただ、15日にオマーンで予定されている米国との核協議について中止を明言していない。
オマーンが関係国と連絡
オマーンの国営通信によると、同国の外相は「イスラエルによるイランへの直接攻撃が引き起こした地域の緊張と危険な軍事的エスカレーション」を抑えるため、関係国と連絡を取っている。
米との協議中断が合理的とイラン国会議員
イラン国会議員のアラエッディン・ボルージェルディ氏は14日、国営テレビのインタビューで、米国との協議は現時点で「無意味」だと述べ、協議中断が合理的な判断だと語った。
イラン革命防衛隊幹部また死亡
イラン革命防衛隊の航空宇宙部門司令官アミール・アリ・ハジザデ氏がイスラエルによる攻撃で死亡したと、イラン国営テレビが報じた。
双方の攻撃で被害
イランのメディアによると、イスラエルによる攻撃で少なくとも95人が負傷し、テヘラン郊外にある複数の集合住宅が被害を受けた。イランの国連大使は、今回の攻撃で78人が死亡し、320人以上が負傷したと述べた。
イスラエルでは、テルアビブ周辺で起きた複数のミサイル攻撃で3人が死亡し、少なくとも40人が負傷した。警察と救急当局が明らかにした。
事態の悪化を非常に懸念-スターマー英首相
英国のスターマー首相はイランの核開発計画について英国は「深刻な懸念」を抱いてきたと述べ、イスラエルの自衛権を支持した。その上で対立の緩和を呼び掛けた。
スターマー氏は、フランスのマクロン大統領、ドイツのメルツ首相との電話会談を終えた後でブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じ、「事態の悪化を非常に懸念している。だからこそ、ドイツやフランスとともに、緊張緩和が今まさに必要だと明確に認識している」と述べた。
石破首相がイスラエルの攻撃非難
石破茂首相は官邸で記者団に対し、イスラエルのイラン空爆について「極めて遺憾であり、強く非難する」と表明。国家安全保障会議(NSC)閣僚会合で、事態の沈静化とイラン核問題解決に取り組むよう指示した。
イランは「手遅れになる前」に合意を-トランプ氏
トランプ大統領は「この殺りくを終わらせる時間はまだある。すでに計画されている次の攻撃はさらに残忍なものだ」とトゥルース・ソーシャルに投稿した。トランプ氏は「手遅れになる前に」イランは合意に達する必要があると訴えた。
ロシア、事態のエスカレート非難
ロシアはイスラエルとイランの急速なエスカレートを非難した。ペスコフ大統領府報道官の発言として、インタファクス通信が報じた。
イラン、放射能漏れの示唆ない-IAEA
イランの主要なウラン濃縮施設があるナタンズで放射能レベルが上昇しているとの示唆はないと、国際原子力機関(IAEA)が明らかにした。イスラエルの攻撃は何重もの層で保護されているイランのウラン備蓄にまだ達していないことがうかがわれる。
IAEAはイラン当局から、ナタンズの施設で放射能レベルの上昇は観測されていないとの報告を受けたという。イランのタスニム通信が同国原子力エネルギー当局の話として報じたところによると、施設外に放射能・化学汚染が広がっていることもない。ナタンズはテヘランの約300キロ南に位置する。
イラン当局によると、ブシェール原発にイスラエルの攻撃はなかった。フォルドゥのウラン濃縮施設も攻撃を受けていないと、IAEAのグロッシ事務局長は声明で明らかにした。
製油施設や貯蔵タンクに被害なし
イラン国営石油公社(NIOC)の精製供給部門は、イスラエルの攻撃による国内製油施設や貯蔵タンクへの被害はなかったと発表した。国営イラン通信(IRNA)が伝えた。国内各地での燃料供給は中断なく継続しているという。
事前に承知とトランプ氏
イスラエルのイランへの攻撃後、トランプ大統領はFOXニュースとのインタビューで、イスラエルの行動を事前に承知していたと認めた。イランがどのような報復措置を取るか注視しており、米中央軍は厳戒態勢にあると話した。
大統領はイランが交渉のテーブルに戻ると期待しているが、同国が核爆弾を持つことはできないとの立場を繰り返し表明した。
米国は関与せず
ルビオ国務長官は声明で、「われわれはイランへの攻撃に関与していない。最優先事項は地域に展開する米軍の保護だ」と説明。トランプ政権は米軍の保護に向け必要なあらゆる措置を講じ、地域のパートナー国と緊密なやり取りを続けているとした。
「イスラエルは今回の行動が自衛のために必要だと考えているとわれわれに伝えてきた。明確にしておきたい。イランは米国の国益や人員を標的にすべきではない」と強調した。
原題:Israel Attacks Tehran as Iran Fires Another Missile Salvo、Critical Damage Dealt to Key Iranian Nuclear Site, IAEA Says (1)、Iran Conflict Ensnares Energy as Israel Hits Giant Gas Field(抜粋)
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