(ブルームバーグ):米下院を先月通過したトランプ大統領の大型税制・歳出法案は、貧困層に経済的な打撃を与える一方で、高所得層には恩恵をもたらしそうだ。米議会予算局(CBO)の新たな分析で分かった。
CBOが12日に公表した分析結果によると、所得下位10%の世帯は年間で平均約1600ドル(約23万円)相当の世帯資源を失うことになり、減少分は所得の3.9%に相当する。メディケイド(低所得者向け医療保険)や補助的栄養支援プログラム(SNAP、いわゆるフードスタンプ)への支援削減が、減少の主因だ。世帯資源とは、家庭が利用可能な現金および非現金の所得の合計。
一方、所得上位10%の世帯では年平均1万2000ドルと、所得の2.3%に相当する世帯資源の増加が予想される。CBOの報告書によれば、主に納税額の減少によるという。

中間所得層では、世帯資源の伸びは500-1000ドルと見込まれている。これは所得の0.5-0.8%に相当する。
この税制法案には、第1次トランプ政権下で2017年に成立し、年末に期限切れを迎える予定の減税措置を延長するほか、複数の新たな税控除を設ける内容が含まれる。一方で、歳出削減を目的としたメディケイドやSNAPの改革案も盛り込まれている。
CBOは先にこの法案について、「動学的効果」を考慮しない場合、今後10年間に米財政赤字を2兆4000億ドル膨らませるとの試算を示していた。
原題:Richest Get Income Boost in Trump Tax Bill, Poorest Lose Money(抜粋)
--取材協力:Alex Newman.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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