日本銀行は、インフレ動向は予想よりやや強めに推移しているとみている。世界的な貿易摩擦が緩和した場合、利上げの議論のきっかけとなる可能性がある。事情に詳しい複数の関係者への取材で分かった。

関係者によると、日銀が16、17日に開く金融政策決定会合では、米関税政策を巡る日本をはじめとした各国間の交渉の進展やその内外経済への影響を見極めるため、政策金利を0.5%程度に維持することが決まる見通しだ。

一方で、足元までの消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)は、人件費や原材料価格の上昇を価格転嫁する動きが続き、食料品価格を中心にやや強めの動きとみている。急騰している米価格が消費者のインフレ期待を押し上げる可能性を指摘する声もある。

米関税によって基調的な物価に大きな下押し圧力がかからないことが明確になれば、毎回の会合で経済・物価見通しの実現確度を精査し、利上げが適切かどうかを検討する可能性があるという。

こうした関係者の発言は、世界貿易の情勢がより明確化すれば、日銀が年内に利上げを行う選択肢があることを示唆している。

総務省が発表した4月の全国コアCPIは前年比3.5%上昇と伸び率が前月の3.2%から拡大し、2023年1月以来の高水準となった。3%台は5カ月連続。エネルギーや生鮮食品を除く食料が全体を押し上げた。

植田和男総裁は5月の講演で、従来の輸入物価上昇を起点としたものから、「食料品価格の上昇という形で、もう一つのサプライショックに直面している」と指摘。基調的な物価上昇率が目標の2%に近づいている中で、「食料品価格の上昇が基調的な物価上昇率に与え得る影響に注意する必要がある」と述べた。

日米の関税交渉を巡っては、依然として不透明な状況が続いている。赤沢亮正経済財政担当相は13日、6回目の閣僚協議に臨むため米国に出発した。石破茂首相は15日に開幕する主要7カ国首脳会議(G7サミット)に参加するためカナダを訪問。滞在中、トランプ大統領と首脳会談を実施する予定だ。

来週の日銀会合については、市場でも政策金利の維持が広く見込まれている。日銀が現在進めている国債買い入れの減額計画の中間評価や2026年4月以降の購入計画が注目を集めている。

ブルームバーグが3-10日に行った調査では、今会合での政策変更を予想するエコノミストはいなかった。次の利上げは来年1月との見方が最多の34%。年内の利上げ見送り予想は約48%となり、前回の4月調査の29%からさらに増加した。

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