(ブルームバーグ):みずほフィナンシャルグループ(FG)は、インドの大手投資銀行アベンダス・キャピタルを買収する方向で最終調整に入った。グローバルにまたがるM&A(企業の合併・買収)案件で助言業務などを強化する狙いがある。
事情に詳しい複数の関係者によると、みずほFGの木原正裕社長が今週インドに渡り、アベンダスの幹部と面会して詰めの交渉を行っている。今月中にも最終合意に達する可能性がある。
同関係者らによると、みずほFGは米投資会社KKRが保有するアベンダスの株式63%を全て取得する。他の少数株主からも買い取り、約7割を保有する方針だ。アベンダスの全体の企業価値は8億ドル(約1150億円)程度と見込まれている。
みずほFGは12日、「当社が発表したものではない」とのコメントを発表した。KKRの広報担当者は11日時点でコメントを控えた。
みずほFGは、今後も高い経済成長が見込まれるインドでM&A助言などの実績が豊富なアベンダスを買収することで、海外での投資銀行業務の強化を図る。2023年にはM&Aに強みを持つ米投資銀行グリーンヒルも買収した。
また今年、みずほFGは初の外国人副社長として、スニール・バクシー氏を起用した。バクシー氏は米金融大手シティグループで要職を歴任し、欧米での勤務経験の他、アジアの知見や人脈も豊富だ。自身にインドのルーツもある。みずほFGはバクシー氏を要とし、M&Aなどで米州、欧州、アジアの地域間連携を強化する。
アベンダスを巡っては、KKRが保有株の売却意向を示し、昨年から複数回にわたり入札を行っていた。その過程で、野村ホールディングスや米カーライル・グループなども取得に関心を示していた。
人口が中国を抜き世界一となったインドの成長を取り込もうと、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と三井住友FGも含め日本のメガバンクグループは意欲的だ。現地の商業銀行やノンバンク、フィンテック企業に相次ぎ出資しているほか、支店開設などの動きが活発化している。
ただ、MUFGと三井住友FGは法人向け業務も手がける一方で、個人向け金融の分野に重点を置くなど戦略にはそれぞれ違いがある。みずほFGの木原氏は5月20日の会見で、インドでは「リテールバンクを買収しようという意図は基本ない」と明言していた。
(みずほFGのコメントを追加して記事を更新します)
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