(ブルームバーグ):サッポロホールディングス(HD)の子会社、サッポロ不動産開発(東京都渋谷区)の売却を巡り、米投資ファンドのベインキャピタルやKKR、ローンスターなどが2次入札に進んだことが11日までに分かった。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
関係者らによると、2次入札は8月に締め切られ、年内の合意を目指す。譲渡額は少なくとも4000億円規模に上るとみられる。昨年12月に行われた1次入札には十数社が応札していた。
サッポロ不動産開発の売却には、同社が保有・運営する大型複合施設「恵比寿ガーデンプレイス」も含まれ、不動産業界において今年最大の取引とも目される。サッポロHDは売却益を今後の成長事業への投資に充てるとしており、売却額にも注目が集まる。
前日終値を挟んで取引されていたサッポロHDの株価は、ブルームバーグの報道を受けて一時前日比7.1%高の7818円まで上昇し、1月以来の上昇率を付けた。終値は4.8%高の7650円だった。
ガーデンプレイスは1994年10月に開業。JR恵比寿駅に直結する好立地で、オフィスビルをはじめ商業施設やホテル、住宅などで構成する都内屈指の大型複合施設だ。
関係者によると、ベインはJR東日本と東急と連携している。ベイン陣営は、ガーデンプレイスとJR恵比寿駅に加え、広域渋谷圏構想を掲げる東急も加わっていることで、JRと東急が乗り入れる渋谷駅との回遊性なども考慮した街づくりを提案するとみられる。
サッポロHDとベイン、KKRの広報担当者はそれぞれコメントを控えた。一方、JR東日本は「本件入札には参画しておらず、ベインキャピタルと連携している事実はない」と電子メールでコメント。東急も事実ではないとしている。ローンスターからのコメントは得られていない。
サッポロHDは売却によって得た資金で、売上高の7割超を稼ぐ主力の酒類事業の成長加速を狙う。今年2月、尾賀真城社長(当時)はIR説明会で「これまで不動産の位置付けが大きかったが、伝統あるビールメーカーとして本当にビールを売るという点を明確にしたい」と表明。本業の成長を妨げていた不動産事業につきものの負債がなくなることで、大型買収が可能との認識を示した。
サッポロHDの不動産事業を巡っては、物言う株主(アクティビスト)で同社の筆頭株主であるシンガポールの3Dインベストメント・パートナーズが、主力である酒類事業の業績不振を覆い隠すものとして売却を主張。サッポロHDはフィナンシャル・アドバイザーに野村証券を選定し、不動産事業への外部資本導入などに関する提案募集を昨年9月に開始していた。
(7段落目に東急のコメントを追加して更新します)
--取材協力:布施太郎、鈴木英樹、吉田昂.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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