(ブルームバーグ):トランプ米大統領の指示でロサンゼルスに派遣された海兵隊が現地入りした。ロサンゼルス市警のマクドネル本部長は、地元当局との事前調整を欠いたままの軍部隊展開は治安維持に重大な支障を来す恐れがあると警告していた。
米北方軍の報道官によれば、第7海兵連隊第2大隊の約700人がロサンゼルス地域に到着した。具体的な配備先は明らかにされていないが、同部隊はすでにパラマウントやコンプトンを含む地域に展開している州兵約2100人と合流するという。
スミス海兵隊総司令官は10日、上院軍事委員会で、派遣された部隊は群衆制圧の訓練を受けており、防盾や警棒を装備しているが「逮捕権限は持たない」と述べた上で、あくまで法執行機関の支援が目的であって、それに代わるものではないと説明した。
マクドネル市警本部長は9日夕、海兵隊の到着について事前に正式な通知を受けていなかったと明らかにした。
ロサンゼルスでは、移民・税関捜査局(ICE)による不法移民摘発に抗議するデモ参加者と警察当局の衝突が4夜連続で発生。9日の日中はおおむね平穏に行われていた抗議活動だが、警察がゴム弾をデモ参加者に発射し、一部の抗議者が瓶を投げるなどしたことで、散発的な衝突へと発展した。
デモ隊と警察の衝突で、ロサンゼルス大都市圏では週末以降に380人余りが逮捕された。
市内に配備された州兵はこれまで連邦施設の警備に徹しており、警察とデモ隊との衝突に直接は関与していない。
トランプ大統領とカリフォルニア州のニューサム知事は、今回の対応を巡り互いに非難の応酬を続けている。ロサンゼルス市は中心部で夜間外出禁止令を発令した。
州側は州兵と海兵隊員の動員を巡って連邦政府を提訴。一方でトランプ氏は、2028年大統領選の民主党有力候補とも目されるニューサム知事について、連邦政府による移民摘発やデモ対応に介入すれば逮捕もあり得ると示唆。自身がロサンゼルスの壊滅を食い止めたと主張している。
トランプ氏は10日、「危険がなくなる」まで部隊はロサンゼルスに残ると述べた上で、ニューサム知事と今週、直接電話で話し合い、より適切な対応を促したと語った。一方、ニューサム氏は電話はなかったとX(旧ツイッター)に投稿し、トランプ氏の発言を否定した。
トランプ氏はまた、「ロサンゼルスの一部は反乱と呼べる状況だった」と述べ、同州内への海兵隊員派遣を正当化するために反乱法の発動を検討する可能性を示唆した。
抗議活動は、広大なロサンゼルスの比較的限られた地域で行われている。ダウンタウンから数マイル離れたセンチュリーシティやハリウッドヒルズ、サンタモニカなどの地域では騒乱の兆候は見られず、企業や住民への影響もほとんど出ていない。
しかし、事態はロサンゼルスを越えて広がりを見せつつあり、ニューヨーク市やサンフランシスコ、シカゴ、ワシントンでもICEに対する抗議デモが発生している。ロサンゼルスの南東に位置するカリフォルニア州オレンジ郡サンタアナでは、移民摘発が行われた後にデモ参加者が警察当局と対峙(たいじ)した。
9日夜にはテキサス州のダラスとオースティンでも警察とデモ参加者の衝突が発生。州議会議事堂付近の群衆を退去させるために催涙ガスが使用された。
トランプ政権は、ロサンゼルスの治安情勢が悪化の一途をたどっており、移民当局を支援し秩序を回復するためには連邦部隊の投入が必要だとの立場を示している。
ヘグセス国防長官は10日、ロサンゼルスへの部隊派遣に対する民主党の批判に反論し、トランプ政権としては移民当局の職員を保護し、現地でのデモが制御不能になるのを防ぎたい考えだと述べた。下院歳出小委員会の公聴会で発言した。
カリフォルニア州とニューサム知事は10日、サンフランシスコの連邦地裁判事に対し、州兵と海兵隊員派遣の緊急差し止めを申し立てた。
州側は前日に提出した訴状で今回の措置について、トランプ大統領による前例なき権力の掌握だと批判。州兵の指揮権を国防総省から州に戻すよう求めた。
この訴訟はクリントン元大統領が任命したチャールズ・ブライヤー判事が担当する。
原題:Marines Arrive in LA as Tensions Grow Over Immigration Raids (2)、Marines Arrive in LA as Police Chief Warns Over Lack of Notice、Downtown LA Set for Curfew as Newsom Condemns Troop Deployment(抜粋)
(週末以降の逮捕者数と夜間外出禁止令の発令を追加して更新します)
--取材協力:John Gittelsohn.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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