(ブルームバーグ):自動運転車の普及により、4000億ドル(約58兆円)規模の米自動車保険業界は再編を迫られることになると米銀ゴールドマン・サックスはみている。人為的ミスによる事故が減少し、コストが削減される一方で、責任の所在に関する課題が残るためだという。
ゴールドマンのマーク・ディレーニー氏らアナリストは9日付の顧客向けリポートで、「自動運転は、長期的には事故の発生頻度を大幅に減らし、事故に対する法的責任のあり方と賠償コストの構造を塗り替える可能性がある」と指摘した。
自動運転車市場は急速に拡大しつつあり、2030年には70億ドル規模に達すると予想されている。また、米国におけるクラス8(大型)トラック向けの自動運転バーチャルドライバー市場も、同年には50億ドル前後の規模となる見通しだ。
米電気自動車(EV)メーカー、テスラは今週、待望のロボタクシー(自動運転タクシー)サービスを地元テキサス州オースティンで開始する予定。同市はロボタクシー産業の中心地の一つとなっており、米アルファベット傘下のウェイモなどが既に公道での無人車両サービスを展開している。
テキサス州は自動運転に関する規制が比較的緩く、他の乗用車並みにとどまる。無人車両はカメラ搭載と交通法規順守、保険加入が義務付けられている。
ゴールドマンのアナリストは、走行距離1マイル当たりの自動車保険料が、25年の約0.50ドルから40年には約0.23ドルと、今後15年で50%余り低下すると予想。それでも、自動車保険の保険料収入は少なくとも向こう10-15年にわたって緩やかな伸びが続くとみている。
責任は誰に
しかし、最大の課題は責任の所在だ。これは米国の自動車保険制度の根幹に関わる問題でもある。現在は自動車の運転手が、自らの運転によって生じた人的・物的損害の責任を負う。だが、コンピューターが運転を担い、同乗者は単なる乗客に過ぎなくなれば、責任の所在ははるかに複雑になる。
アナリストは「製造物責任(PL)やサイバー保険といった分野に保険の対象がシフトする可能性がある。これは現在の自動車保険がカバーしているリスクとは異なる性質だ。このため既存の自動車保険会社は、収益性を伴う形で新たなリスクを引き受けるために人材や能力への投資が必要になる可能性がある」と分析した。

原題:Goldman Sees Autonomous Vehicles Transforming Insurance World(抜粋)
--取材協力:Phil Kuntz.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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