欧州中央銀行(ECB)は5日に開く政策委員会の会合で、政策金利として重視する中銀預金金利を7会合連続で0.25ポイント引き下げる見込みだ。

トランプ米政権の関税政策が国際貿易に混乱をもたらし、インフレと景気の見通しに影を落とす中で、現在の緩和局面で8回目の利下げに動く公算が大きい。

ブルームバーグが調査したアナリストの全員が、中銀預金金利の現行2.25%から2%への引き下げを予測した。

9月には欧州連合(EU)と米国との貿易協議の決着が予想され、関税の影響を十分反映した経済見通しも公表される予定であり、同月の政策委会合では追加利下げが想定される。

今週の政策決定では、四半期ごとに公表する最新の経済予測も政策担当者の判断材料になる。しかし、米国発の絶えず変化する脅威の存在が、見通しを難しくしている。今後数カ月は成長減速とインフレ鈍化の可能性が高いが、欧州の防衛・インフラ支出拡大は、長期的に成長と物価の押し上げ要因と考えられる。

ゴールドマン・サックス・インターナショナルの欧州担当チーフエコノミスト、ヤリ・ステーン氏は「ECBは難しい立場に置かれている」と指摘。貿易摩擦に加え、財政刺激策に関する具体的情報を欠いていることにも言及し、「こうした状況全てが、金融政策の適切な調整を難しくしている」と分析した。

ECBはフランクフルト時間5日午後2時15分(日本時間同9時15分)に政策決定を発表し、その30分後にラガルド総裁が記者会見に臨む。

7月は金融緩和の休止が見込まれるが、トレーダーはその後もう1回の利下げを経て、中銀預金金利が1.75%に達する流れを織り込む。これはECBのエコノミストが景気を刺激も抑制もしない中立金利の下限と考える水準だ。

原題:ECB to Cut Rates as Trade Mess Weighs on Economy: Decision Guide(抜粋)

(トレーダーの見方を追加して更新します)

--取材協力:Mark Schroers、市倉はるみ、Joel Rinneby、Andrea Palasciano.

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