(ブルームバーグ):今週の債券市場は、相場を再び波乱に導きかねない2つの鬼門に挑む。新発10年国債、同30年債の入札が不調に終われば、投資家の不安を鎮めるために日本政府は国債発行額の減額判断を迫られる。

財務省は3日に10年、5日に30年の国債入札を実施する。巨額の財政赤字に対する懸念から世界の長期金利は上昇(債券価格は下落)圧力に直面している。日本も5月に行われた20年、40年国債の入札が不調に終わり、国債相場の大幅な下落を引き起こした。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤原和也債券ストラテジストは「長期ゾーンの入札を楽観視するのは難しい」とみており、特に30年債入札には警戒感があり、「市場は不安定な状態が続く」と予想している。
日本の債券市場は、日銀が大規模な国債買い入れによって発行済み国債の半分以上を保有することになり、数年にわたって利回りが低い水準に抑えられてきた後、昨年7月からの国債買い入れ減額計画で適切な市場流動性を取り戻そうとしている。利回りの急上昇は、投資家が国債発行計画を見直す必要があると、政府に警告を送っていることを示唆している。
パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は「投資家に購入余力がないのであれば、需給の不均衡を改善するには発行額を減らすしかない」と強調。特に30年債には「早急な対応が必要だ」と言う。

日本国債市場は先週、財務省が市場参加者に発行額と現在の市場状況に関し意見を求めるアンケートを送付したことをきっかけに、発行計画を見直すとの観測が浮上。日本銀行の植田和男総裁は国会答弁で、超長期債利回りの上昇が償還期間の短い債券に影響が及ぶ可能性に留意する姿勢を示した。2日の30年債利回りは2.96%と、過去最高を更新した5月下旬の3%台から幾分低下している。
ブランディワイン・グローバル・インベストメント・マネジメントのポートフォリオ・マネジャー、キャロル・ライ氏は足元の30年債利回りの水準を考えると、日銀がこの年限の買い入れ減額を抑えるか、財務省が供給を減らせば、利回りは下がると予想した。
財務省は国債市場特別参加者(プライマリーディーラー、PD)会合を20日に開催する予定で、7月の国債発行計画の見直しについて発表する可能性がある。
SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは、「超長期債の利回りは発行減額への期待からピークに達したとみられるが、減額の実際の規模が明らかになるまで投資家は慎重な姿勢を維持するだろう」と述べた。
--取材協力:日高正裕、Beth Thomas、近藤雅岐.
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