(ブルームバーグ):財務省が2日発表した法人企業統計(速報値)によると、1-3月期の全産業(金融・保険を除く)の設備投資は2四半期ぶりのプラスとなった。今回の結果は国内総生産(GDP)改定値にほとんど影響せず、マイナス成長のまま変わらないとの見方が出ている。
設備投資は前年同期比6.4%増。市場予想は3.8%増だった。9日発表の同四半期のGDP改定値に反映されるソフトウエアを除くベースでは同6.9%増。市場予想では5.3%増が見込まれていた。前期比では1.8%増だった。製造業では食料品や鉄鋼が増加。非製造業では運輸・郵便や情報通信が伸びた。
同四半期の実質GDP速報値は前期比年率0.7%減と、個人消費の低迷や外需の弱さを背景に4四半期ぶりのマイナス成長となった。人手不足に伴う省力化投資などで設備投資はプラスの伸びを維持したが、米国による一連の関税措置で世界の経済活動への影響が懸念される。設備投資が失速すれば、けん引役不在の日本経済に対して下押し圧力が一段と強まりかねない。
農林中金総合研究所の南武志理事研究員は、GDP改定値への影響はあまりなく、マイナス成長のままで結果は出てくると指摘した。その上で、「機械関連の設備投資は動きが鈍くなってきている」と分析。米関税の影響が今後本格化して設備投資の数字が良くなることはなく、消費や輸出にも悪影響が及ぶと予想されるため、4-6月期もマイナス成長が続くとみている。
今回の結果について財務省は、景気が緩やかに回復している状況を反映したものと説明。米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクや、物価上昇などの影響を含め今後とも企業の動向に注視していくとした。
米関税措置を巡っては、米国際貿易裁判所が28日にその多くの部分を違法として阻止する判断を下した一方、連邦高裁は政府の要請に応じてその効力の一時停止を認めた。世界に不確実性が漂う中、トランプ大統領は5月30日、鉄鋼の輸入関税を25%から50%に引き上げると表明した。
日本銀行の植田和男総裁は、経済・物価見通しが実現する場合は利上げを継続する方針だが、金融政策運営に当たって米関税政策の影響を注視する構えは崩していない。5月28日の国会では、米関税政策が内外経済に及ぼす影響に言及するとともに、日米間を含めて通商交渉は進行中であるとして「引き続き不確実性が高い」と述べていた。
1-3月期の全産業の経常利益は前年同期比3.8%増と2期連続のプラス。売上高は4.3%増と16期連続のプラスとなった。
財務省の説明
- 設備投資の増加要因
- 食料品:生産能力増強のための投資
- 鉄鋼:自動車向け鋼板の生産能力増強投資
- 運輸・郵便:駅周辺開発投資や輸送機導入
- 情報通信:デジタルインフラ向け投資
- 設備投資と売上高、金額ベースではいずれも過去最高を更新
- 今回の調査で米関税政策の影響について直接言及する声は出なかった
(詳細とエコノミストコメントを追加して更新しました)
--取材協力:野原良明.
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