カナダ西部バンフを訪れている日本銀行の植田和男総裁は22日(現地時間)、超長期金利の上昇に関し、市場動向を注視する考えを示した。主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議閉幕後の記者会見で述べた。

植田総裁は「短期的な金利の動向について具体的にコメントすることは差し控える」とした一方、市場動向を「よく注意して見ていきたい」と語った。

22日の債券相場は下落し、新発40年国債利回りは一時前日比6ベーシスポイント(bp)高い3.675%と3営業日連続で過去最高を更新した。日銀の野口旭審議委員が超長期金利の上昇に対して日銀がむやみに介入することは適切でないとの見解を示したことなどを受けて売りが優勢となり、利回り曲線のスティープ(傾斜)化が進んだ。植田総裁からは超長期金利上昇に対する具体的な対応への言及はなかった。

植田総裁はまた、米国による関税政策を巡って「米中や米英の間で一応前向きの動きがあった」としつつ、引き続き不確実な状況が続いていることから今後のデータなどを見て分析に当たる考えを示した。

今回のG7の注目点の一つだった為替は、共同声明で「2017年5月の為替レートに関するコミットメントを再確認する」とした。会見に出席した加藤勝信財務相「それ以上に為替について議論になったわけではない」と話した。

加藤財務相は21日に現地で米国のベッセント財務長官と2国間協議を実施。同日の会見では、為替が市場で決定されることや、為替の過度な変動は経済に悪影響を与え得るとの認識を共有したと語った。為替水準については議論しなかったとしている。

G7は共同声明で、世界経済の不均衡に対して懸念を表明した。潜在的な世界へのスピルオーバー(波及)を踏まえて「過度な不均衡に対処し、マクロのファンダメンタルズを強化する必要性を強調する」と明記。非市場的な政策や慣行が「不均衡を悪化させ、過剰生産能力を助長し、他国の経済安全保障に影響を及ぼすかについて、共通理解の必要性を認識する」ことでも一致した。

共同声明ではトランプ米政権の貿易関税を巡る同盟国間の対立や深い意見の相違については踏み込まなかった。1年前にイタリアで開かれた会合では、「自由で公正かつルールに基づく多国間体制」へのコミットメントが改めて示されたが、バンフではその表現が「共通の政策目的の追求」へと弱められた。

(共同声明の内容を追加して更新します)

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