米下院共和党指導部は21日夜、トランプ大統領が推進する大型の税制・歳出法案の修正案を公表した。州・地方税(SALT)控除の上限引き上げなどを盛り込んだもので、党内で対立する勢力の支持を取り付ける狙いがある。

今回の修正法案には保守強硬派が求めていた措置として、メディケイド(低所得者向け医療保険)の削減加速や、バイデン前政権下で導入されたクリーンエネルギー関連の税額控除を早期に廃止する措置も盛り込まれた。

ただ、今回の修正法案が下院本会議で可決されるだけの支持を得られるかは依然として不透明だ。共和党は下院で辛うじて過半数議席を占めているのに過ぎず、造反議員の数を極力抑える必要がある。

ジョンソン下院議長は、議員がメモリアルデーの祝日に伴う休会に入る前に法案を下院本会議で可決するよう強く働きかけており、22日にも採決が行われる可能性がある。

修正案では、SALT控除の上限を4万ドル(約575万円)に引き上げる。この措置はニューヨーク、ニュージャージー、カリフォルニアなど高税率州選出の議員の支持を得るのが目的で、今年から適用される見通し。

一方で、年間所得が50万ドルを超える納税者に対しては、控除額が段階的に縮小される。さらに、この控除上限は、来年以降毎年1%ずつ引き上げられる。

SALT控除の上限引き上げは、「SALT共和党」と呼ばれる議員グループが長年求めてきたもので、トランプ政権1期目の税制改革で控除上限が1万ドルに制限されて以来、この見直しを主張してきた。それ以前は、SALT控除に上限は設けられていなかった。

修正法案では、超保守派の要求に応える形で、メディケイドの新たな就労要件導入時期を当初の2029年から26年12月に前倒しする措置も盛り込まれた。

また、子供向けの新たな税制優遇貯蓄制度の名称を「トランプ口座」に変更。当初案では「MAGA口座」と称されていたこの制度は、今後数年間に米国で生まれる全ての新生児に対し、1人当たり1000ドルを支給して口座を開設する仕組みとなっている。

原題:Trump Tax Bill Holdouts Lured With SALT Hike, Medicaid Cuts (1)(抜粋)

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