ソフトバンクグループ傘下の英半導体設計会社、アーム・ホールディングスの米国預託証券(ADR)が7日、引け後の時間外取引で急落した。4-6月(第1四半期)についてさえない売上高見通しを示したことで、半導体業界が関税の影響で減速する懸念が強まった。

発表資料によると、4-6月期売上高は10億-11億ドル(約1440億-1580億円)の見通し。市場予想はこのレンジ上限と一致していた。一部項目を除いた1株利益は30-38セントを見込み、これもアナリスト予想を下回った。

発表を受け、アームのADRは時間外取引で一時、約10%下落した。年初来では、この日の通常取引終了時点で1%未満の上昇。

同社は顧客との新たな契約のタイミングを踏まえ、予想について慎重だと説明した。レネ・ハース最高経営責任者(CEO)によると、アームは現在、新たなライセンス契約の締結を進めているが、実際に署名されるまでは見通しに織り込まない方針だ。顧客が人工知能(AI)コンピューティング向けを中心に半導体投資を引き続き進めており、同社はその恩恵を受けているという。

アームは、自社技術に関するライセンス料とロイヤルティー収入を得ている。1-3月(第4四半期)のライセンス料収入は6億3400万ドル、ロイヤルティー収入は6億700万ドルだった。

ハースCEOはインタビューで「予測が過大にならないようわれわれは慎重姿勢を取っている」とし、「ビジネスの健全性は驚くほど強く、特にデータセンター事業で大きな勢いが見られる」と語った。

 

アームの見通しは、他の半導体企業の見解と一致している。業界内の多くの企業は、2025年の滑り出しは力強かったが、経済環境を受け、先行きに不透明感が出ていると投資家に説明している。

経営陣はアナリストとの電話会見で、先行き不透明感を理由に、年間目標を投資家に提示しないことを決めたと明らかにした。顧客が25年の予想をほとんど示しておらず、アームが予測を立てるデータも少ないと、ジェイソン・チャイルド最高財務責任者(CFO)は説明した。

同CFOによると、サービスに分類されるアームの製品は関税から直接影響を受けない。仮に影響が出るとすれば、スマートフォンなどのデバイスの需要抑制という形で現れるが、そうした影響は今のところ出ていない。

1-3月期売上高は前年同期比34%増の12億4000万ドルと、初めて10億ドルの大台に乗せた。ブルームバーグ集計のアナリスト予想は12億3000万ドルだった。一部項目を除いた1株利益は55セントで、市場予想平均の52セントを上回った。

原題:Arm Tumbles After Giving Weak Forecast, Spurring Slowdown Fears(抜粋)

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