(ブルームバーグ):人間の遺伝子を再プログラムし寿命の延長を目指す米スタートアップ、ニューリミットが新たな資金調達を実施し、企業評価額は8億1000万ドル(約1100億円)に達した。同社は暗号資産(仮想通貨)交換業者コインベースの共同創業者ブライアン・アームストロング最高経営責任者(CEO)らが設立した。
発表資料によれば、ニューリミットはシリーズBの資金調達ラウンドで1億3000万ドルを調達した。主導したのはベンチャーキャピタルのクライナー・パーキンスで、評価額は広報担当者によって確認された。

アームストロング氏は2021年、コインベースの新規株式公開(IPO)で得た資金を未開拓の技術分野に投入する形でニューリミットを設立した。ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、同氏の純資産は80億ドルを超えており、現在もコインベースの経営をフルタイムで主導しつつ、ニューリミットの投資家かつ取締役も務める。
同氏はインタビューで「毎年5600万人が老衰で死亡している。これほどの人命喪失は最大の悲劇だろう」と語った。
機能の回復
ニューリミットが目指すのは、人間の細胞内の特定のタンパク質に焦点を当て、それらの細胞を再プログラムして老化の影響を抑制することだ。アームストロング氏は肺炎のような病気に対してはるかに脆弱(ぜいじゃく)な状態にある80代の患者を例に挙げ、免疫システムを対象にしたこうした治療を受けることで、より良い状態を維持し、致命的な結果を減らせる可能性があると述べた。
同氏は「老化が当たり前と受け止められ、それに対してできることはほとんどないと思われている。だが本質的には、若かった頃に細胞が持っていた機能を回復させることが目標だ」と語った。
同社は人間での臨床試験はまだ数年先だとしながらも、肝細胞や免疫細胞での実験を進めており、範囲を拡大していく目標だという。
会社設立時のブログ投稿によれば、ニューリミットは当初、創業者らから1億500万ドルの出資を受けており、2023年にも4000万ドルを調達している。
原題:Brian Armstrong’s Human Life Extension Venture Raises Fresh Cash(抜粋)
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