(ブルームバーグ):半導体メーカーの米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は6日、米政府による対中輸出規制で今年の売上高が15億ドル(約2100億円)押し下げられる見通しを明らかにした。全体としては上向きだった業績見通しに影を落とした。
AMDは決算説明会で今回のガイダンスについて、4月に導入された新たな輸出制限措置で同社製チップ「MI308」が対象になったためだと説明した。データセンター部門は4-6月(第2四半期)に同製品の7億ドルの売上高減少が響き、減収となる見込みだとした。
リサ・スー最高経営責任者(CEO)はAIインフラ全般の需要について依然として楽観的な見方を維持しており、近く発売する新チップが今年後半の売上高を押し上げるとの見通しをあらためて示した。ただ、貿易制限や関税を巡る投資家の懸念や、AI向け半導体市場で先行する米エヌビディアと競争する課題にも直面している。
AMDの株価は、上向きの四半期決算発表後に7%超上昇する場面もあったが、中国販売への影響を明らかにした後は下落した。だが、スー氏がアナリストとの電話会見で説明を行った後に、株価は持ち直し始めた。
スー氏は「AI分野では引き続き強さを維持していると思う。関税などによる不確実性はあるものの、インフラの観点では、AIインフラ投資が継続しているため、年後半には力強い成長を期待している」と語った。
同社は4月、米政府による新たな対中輸出制限を理由に約8億ドルの費用を計上する見通しを示していた。

6日の発表資料によれば、4-6月期の売上高は74億ドル前後の見通しで、アナリスト予想平均の72億3000万ドルを上回った。
AMDは収益性の高いデータセンター用プロセッサー市場でインテルからシェアを奪い、成長を続けている。PCの主要部品であるプロセッサーの堅調な需要も同社に追い風となっている。
1-3月(第1四半期)売上高は36%増の74億ドルとなり、市場予想の71億2000万ドルを上回った。1株利益は一部項目を除いたベースで96セントだった。
データセンター部門の売上高は37億ドルで、前年同期比57%増加した。アナリスト予想平均は36億6000万ドルだった。PC関連売上高は28%増の29億ドル。
原題:AMD’s Bullish Sales Outlook Tempered by China Concerns (1)(抜粋)
(対中輸出規制の影響や最高経営責任者の見解などを追加して更新します)
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