世界最大の資産運用会社、米ブラックロックは主流のファイナンス商品にデジタルテクノロジーを取り入れる意欲を強めている。同社のマネー・マーケット・ファンド(MMF)にブロックチェーン上に登録する新たな持ち分クラスの導入を目指す。

同社は今週、1500億ドル(約22兆円)規模のMMF「BLFトレジャリー・トラスト・ファンド」にブロックチェーンベースの持ち分「DLT」を設定するため、米証券取引委員会(SEC)に申請を行った。

DLTは分散型台帳技術(distributed ledger technology)を意味しており、DLTクラス設定を通じ、ブロックチェーン技術を用いて保有記録や一部のファンド業務の効率化を図る。BLFトレジャリーは米政府の短期証券に投資している。

最低投資額が300万ドルとなるDLTクラスの販売管理を担当するのは、伝統的資産のカストディアン(保管機関)として知られる米銀バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)。同行はこの技術を通じて持ち分の所有を示すための「トークン化」プロセスに関与する。

トークン化は、デジタル資産への関心の高まりを背景に、ウォール街で急速に広まりつつある。資産運用会社がこの分野への参入を進めているためだ。トークン化は本質的に株式や国債などの資産をブロックチェーン上にデジタル化して記録するプロセスで、一般的にコスト削減や処理の高速化、透明性の向上を可能にする。

理論上、ファンドのトークン化により、従来は数時間から数日かかる取引決済を瞬時に行うことができるとされる。

投資情報サービス会社モーニングスターのパッシブ戦略調査ディレクター、ブライアン・アーマー氏は「デジタルファンドでも公式記録は依然として従来の帳簿記入方式であり、そうした効率化の恩恵はまだ得られていない」と指摘。

その上で、今回の動きについて「投資にブロックチェーン技術を取り入れる第一歩だが、新たな戦略でも完全なトークン化商品でもない」と述べた。

ブラックロックはコメントを控えた。

原題:BlackRock Brings Blockchain Push to a $150 Billion Treasury Fund(抜粋)

--取材協力:Anna Irrera、Olga Kharif.

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