米国債券市場では、トランプ米大統領の関税政策が米経済を減速させ米連邦準備制度理事会(FRB)に利下げを迫るとの見方が強まっている。

4月の米雇用統計発表を前に、短期金融市場には2025年に0.25ポイント利下げが4回行われるとの予想が織り込まれつつある。トランプ氏が大規模な関税案を打ち出す前より1回多い。

4月30日のポジショニングデータによると、短期の米国債へのロングポジションが増加しており、関税による成長減速はインフレへの影響を上回ると投資家がみていることを示唆している。

2日発表の4月の非農業部門雇用者数が、関税による不透明感が労働市場にどう影響しているかを見極める材料になる。

三菱UFJフィナンシャル・グループのシニア為替ストラテジスト、リー・ハードマン氏は「市場参加者は、関税によるインフレ圧力よりも、成長鈍化のリスクをより強く意識しており、それがFRBの政策判断に影響を与えると考えている」と語った。

4月の米経済指標によれば、消費者信頼感は5年ぶりの低水準あり、の米供給管理協会(ISM)製造業総合景況指数も5カ月ぶり低水準だった。

景気の弱さの兆候を受けて短期債に買いが集まり、米国債イールドカーブはスティープ化。2年債と5年債の4月のパフォーマンスは30年債を大きく上回った」。

ただし、関税政策の発動タイミングや範囲が不透明なこともあり、経済見通しには不確実性がつきまとう。

ブラックロックの米州チーフ投資ポートフォリオストラテジスト、ガルギ・チャウドゥリ氏は「労働市場の減速はFRBの緩和継続にとって不可欠」とした上で、4月の雇用統計が弱めに出たとしても「単月の結果ではなく、複数の指標を総合的に評価する必要がある」と述べた。

市場では25年の最初の利下げは6月との予想が優勢だ。パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のマイケル・カジル氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで「経済が明確に減速し始めれば、FRBはかなり迅速かつ大規模に対応するだろう」と述べた。ピムコは5-10年の中期ゾーン米国債への投資を増やしているという。

原題:Bond Traders Bet on Tariff-Fueled Jobs Slowdown Before Payrolls(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.