米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)らが創業したスタートアップが、虹彩認証機器を数千台規模で全米展開する。革新的な本人認証サービスを本格始動させる計画だ。

ツールズ・フォー・ヒューマニティーは4月30日のイベントで、サンフランシスコやロサンゼルス、アトランタを含む米6都市で、同社のプロジェクト「ワールド」および一部提携先が運営する特定地点で、球体型の認証機器「Orb(オーブ)」で虹彩を今週からスキャンできるようになると発表した。

米国ではこれまで、この技術は限定的な試験運用としてのみ利用可能だった。

アレックス・ブラニア氏

共同創業者アレックス・ブラニア氏がCEOとして率いるツールズはオーブを、人間であることを証明する強力なツールと位置付ける。人工知能(AI)を使った「ディープフェイク」がますます巧妙になる中、本人確認手段として有効だ。

虹彩スキャンに同意した人は、同社を通じて暗号資産(仮想通貨)のワールドコインも受け取ることができるという。

ツールズによれば、これまでにフィリピンやポルトガル、タイなどの国々で1200万人以上がオーブを利用し本人確認を行っている。一方で、オーブとワールドコインは香港やケニア、韓国などで規制当局の調査対象となったこともある。

同社のチーフアーキテクト、エイドリアン・ラドウィグ氏は今回の拡大計画に先立ち、米国内の規制当局と協議を行ったと述べたが、具体的な機関名は明らかにしなかった。同社は、収集する情報は暗号化され、個人データは保存しないとも説明している。

ツールズはまた、マッチングアプリ大手の米マッチ・グループと提携し、同社の出会い系アプリ「ティンダー」の日本での利用者を対象に年齢確認の試験導入を始めることも明らかにした。

アルトマン氏のオープンAIは対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」の開発元。

原題:Altman-Backed Startup Rolls Out Eyeball-Scanning Tech Across US(抜粋)

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