(ブルームバーグ):4月の米国株式相場は波乱に満ちた展開となった。トランプ米大統領が2日に関税措置を発表したことを受けて株価は急落。その後、関税の一部が停止されると株価は反発した。また経済不安の兆しが強まる中で相場が上昇する場面もあり、投資家を一層混乱させた。
ウォール街は5月を迎え、トランプ政権の貿易政策や米企業の成長見通しについて、ある程度の方向性が示されることを望んでいる。ただ投資家は、過度な期待を抱くべきではない。現時点では不確実性が支配的なもようだ。
4月30日の米国株式相場は、こうした不安定さを象徴する動きだった。
S&P500種株価指数は取引開始直後に下落。1-3月(第1四半期)の実質国内総生産(GDP)速報値が2022年以来のマイナス成長になったことなどを受け一時2.3%安となったが、その後は徐々に下げ幅を縮小。取引終了間際にプラスに転じ、7営業日続伸となった。
ホライズン・インベスターズのスコット・ラドナー最高投資責任者(CIO)は4月の値動きについて「典型的なV字型のジェットコースターのようだった」とコメント。「ここから先は明確な方向感が必要だ」と話した。

4月の値動きが異例だったことは、数値が裏付ける。2日のトランプ氏による関税発表後、S&P500種指数は4営業日で12%余り急落。同氏が9日に方針を転換し、関税の一部を90日間停止すると株価は9.5%高と、1日あたりの上昇率としては過去17年間で最大となった。その後は緩やかに値を戻し、月間の下落率は1%足らずでとどまる形となった。

株価の戻りが控えめにとどまったのは先行きへの不安感が根強いためだ。現時点で自身を「確信度の低い弱気派」だと位置付けるラドナー氏は、「市場のポジションを見ると、ここからのペイントレード(痛みを伴う取引)は、依然として上昇方向であることが明白だ」と指摘。先を見据えれば、貿易協定の締結やその後の全体的な関税率の引き下げ、減税など幾つかの強気材料があると述べた。
投資家の悲観的な見方は広がっている。米個人投資家協会(AAII)の週間調査によると、向こう6カ月間の株式相場について弱気にみていると回答した比率が過去平均を上回ったのは過去23週間で21回に達するなど異例の状態が続いている。

原題:Investors Want Clarity From Trump After a Wild April for Stocks(抜粋)
--取材協力:Yiqin Shen、Bernard Goyder、Matt Turner.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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