(ブルームバーグ):新興国投資のベテランマーク・モビアス氏は、現在の市場環境では「現金こそ王様」との考えを示した。貿易を巡る不透明感が今後最大6カ月続くとみている。
同氏は29日ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、自身の「ファンドの資金の95%を現金にしている」と語った。「今は資金を確保し、適切なタイミングで動けるよう備える必要がある」と指摘した。
インドなど一部の新興市場は現在の環境下でも好調を維持するとしつつ、「この不確実性が収束し、状況が落ち着くのを待たなければならない」と語った。
モビアス氏は、今後4-6カ月の間に進展が見込まれる貿易交渉を経てようやく市場機会を見極められると述べた。その上で「3-4カ月以上、これほど多くの現金を保有することはない」とし、機会に応じて段階的に投資を再開する方針を示した。
投資会社モビアス・キャピタル・パートナーズ共同創業者の同氏は「もし市場がさらに下がれば、当然ながらより多くの資金を投じるつもりだ」と同社の戦略について語った。
モビアス氏は、トランプ米大統領が世界のサプライチェーンを中国から他国へ移転させようとしている点に注目し「インドは中国の代替先として恩恵を受けるだろう」と指摘。「米国は中国の代替となり得るインドとの合意を強く望んでいる」と述べ、ソフトウエアや電子機器関連のインド株に注目していると明かした。
一方で「中国政府が貿易や国内消費に関する姿勢を抜本的に改めれば、中国にも強気になれる」と述べた。
また、市場全体の動向を把握する目的で「S&P500種株価指数連動ファンドも少量保有している」とし、年末に向けて米国株への信頼が戻ることで、同指数の上昇が見込めるとの見通しを示した。
「トランプ氏は大規模な市場崩壊を望んでおらず、投資家に安心感を与えるような調整や発表を行うはずだ」と語った。
原題:Mark Mobius Says His Funds Hold 95% in Cash on Trade War Risks(抜粋)
(発言を追加して更新します)
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