全米で続く卵不足と価格高騰を受け、多くの米国人が自宅でニワトリの飼育に挑戦している。

飼料などの農業用品の小売店チェーンを展開するトラクター・サプライは、ひよこの販売が今年、過去最高を記録すると見込んでいる。顧客はニワトリの飼育数を拡大。卵価格の記録的高騰の影響を避けようと、自ら飼育を始める人が増えていることも背景にある。

トラクター・サプライのハル・ロートン最高経営責任者(CEO)は24日の1-3月(第1四半期)決算会見で、卵価格が今年、2倍余りに跳ね上がる中、新たにニワトリを飼育し始める初心者は自給自足を目指していると述べた。

消費者にとって卵1ダースの価格は依然として高止まりしており、こうした状況を批判するトランプ大統領は政府機関に供給不足を緩和する方法を模索するよう指示している。過去10年で最も深刻な鳥インフルエンザ流行で供給は壊滅的な打撃を受け、イースター(復活祭)のエッグハント(卵探しゲーム)や関税もさらに状況を悪化させた。

 

年間を通じ「ひよこの日」と銘打った販売キャンペーンを実施するトラクター・サプライにとっては、現状は好機をもたらしている。

ひよこの価格は品種や性別により1羽当たり2ドルから4ドルだが、鶏小屋や餌、ヒートランプなどの派生的な商品購入の金額は年間10回の取引平均で300ドルから400ドルに達するケースもあると、みずほ証券のデービッド・ベリンジャー氏は今月のリポートで指摘。トラクター・サプライのロイヤルティー会員のうち700万人から800万人がニワトリを飼っていると推計した。

米ペット製品協会によると、全米では現在、約1100万世帯が裏庭でニワトリを飼育しており、2023年比で28%増えている。

ロートン氏は「ひよこの日はトラクター・サプライにとって年金のような存在だ。ニワトリは通常5-7年生きるため、顧客が繰り返し店舗を訪れる要因になっている」とコメント。「面白いのは、1羽の鶏は年間75ポンド(約34キログラム)強の餌を食べるため、顧客が繰り返し来店することになる」と付け加えた。

みずほのベリンジャー氏が1-3月期に実施した調査では、トラクター・サプライの100余りの店舗の大半でひよこが「即完売」になっていたという。

原題:Egg Prices Drive More Americans to Start Own Chicken Flocks(抜粋)

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