米株式市場で激しい値動きが続く中、株式先物の取引に必要な証拠金が今月に入り急上昇している。これがウォール街の運用者にとって新たな悩みの種となっている。

CMEグループの清算機関であるCMEクリアリングは、4月に入ってからS&P500種株価指数Eミニ先物の当初証拠金を合計で30%近く引き上げた。わずか1日で12%も引き上げた日もあった。ブルームバーグによると、この水準の引き上げは新型コロナウイルスのパンデミック以降で最大。

CMEのクリアリング担当グローバル責任者、スザンヌ・スプレイグ氏は23日の決算に関する電話会見で、9日に時価評価に関連する資金移動額が1日当たりとしては過去最高を更新したことを明らかにした。この日に徴収・支払いを実施した資金の規模は320億ドル(約4兆5700億円)。従来の最高は220億ドルだった。また、この日の証拠金引き上げに伴う追加担保額は70億ドルに達したという。

証拠金引き上げの背景には、市場の混乱の深まりがある。S&P500種株価指数の20日間の実現ボラティリティー(変動性)は、2020年以来の水準まで高まった。

清算機関は市場の動向に応じて証拠金を調整しており、相場変動が激しくなるほど必要な証拠金は増す。今月は株式をはじめ、金、債券、通貨など幅広い市場で値動きが大きくなり、マージンコール(追加証拠金請求=追い証)が相次いだ。

 

ニューヨークを拠点とするストーンXグループの副会長で創設者のショーン・オコナー氏は、清算機関が使用するモデルが全てボラティリティーに基づくことから、「全ての市場と清算機関で、担保要件が総じて増える傾向にある」と指摘した。

シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)先物の証拠金を扱うオプションズ・クリアリング(OCC)は4月初旬、証拠金の計算に使う数値である最大想定価格変動幅を約50%引き上げた。OCCの広報担当サラ・ボレック氏が明らかにした。短期間に複数回の大幅な引き上げが行われるのは、2020年にもなかった異例の事態だという。

原題:S&P 500, VIX Futures Margin Costs Soar as Stock Swings Widen (1)(抜粋)

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