17日の日本市場では、円が対ドルで142円台後半に下落。赤沢亮正経済再生担当相がベッセント米財務長官らとの関税に関する協議後、為替は議題に上らなかったと記者団に述べたことを受け、円高圧力への警戒感が後退した。株式は反発、債券は先物が下落した。

米国の関税政策に世界の金融市場が振り回される中、日本は米国時間16日(日本時間17日)に米国との関税交渉に臨んだ。トランプ米大統領とも会談した赤沢再生相は、米国から日本との協議が最優先との説明があったと述べ、今月中に次回協議を調整すると明らかにした。トランプ大統領は、日本の代表団との間で「大きな進展」があったと自身のSNSに投稿した。

米国は日本への上乗せ関税率を24%に設定。その後、他国と同様に90日間の停止措置をとっている。現在は基本税率10%の関税のほか、自動車や鉄鋼、アルミニウムですでに25%の関税が導入されている。米関税政策を発端に世界景気の先行き不安が高まり、2日の上乗せ関税発表後には世界的な株価急落に見舞われた。

GAMAアセット・マネジメントのグローバルマクロ・ポートフォリオマネジャー、ラジーブ・デメロ氏は、赤沢氏やトランプ大統領の発言が「やや楽観的な見方を後押ししている」と指摘。自動車に対する関税率に関する不確実性は残るものの、「市場にとってやや前向きなシグナルになった」と述べた。

為替

円相場は1ドル=142円台後半に下落。赤沢再生相が為替は議題に上らなかったと述べたことを受けて、ドル買い円売りが強まった。

ソニーフィナンシャルグループの石川久美子シニアアナリストは、赤沢再生相の発言でいったんドル買いに安心感が広がったと語る。ただ、市場がより関心を寄せている中国や欧州との協議は進展しておらず、不安感は払拭されていないと指摘。ドル・円相場は再び140円の方向を目指す可能性が十分あるとみている。

日本銀行の中川順子審議委員が群馬県での金融経済懇談会後に会見し、米関税政策によって金融市場全体では不透明感が強い状況だと述べたが、為替相場の反応は限定的だった。

株式

株式は午後に上げ幅を拡大した。赤沢再生相の発言で為替が円安に振れたことを受け、電機や機械、自動車などの輸出関連株を中心に買われた。日米関税交渉の場でトランプ氏が日本の防衛面での負担増に関して発言したとの報道を受け、IHIや三菱重工業など防衛関連株が上昇した。

午後には台湾積体電路製造(TSMC)が1-3月(第1四半期)決算を発表し、純利益が市場予想を上回った。岩井コスモ証券の斎藤和嘉シニアアナリストは、半導体関連株はTSMCの決算を好感していると語った。説明会で人工知能(AI)関連の設備投資計画の継続を確認できれば、「悪いニュースが続いている半導体セクターの株価を少し下支えする」との見方を示した。

野村証券の沢田麻希ストラテジストは、円高一服で株式相場の上げ幅が拡大したと語った上で、きょうの上昇は「買い戻しが中心」と指摘した。トランプ米政権の関税政策を巡る不透明感や、来週以降に国内企業の決算発表が本格化することで「ボラタイルな展開は続くだろう」と述べた。

債券

債券相場は先物や中長期債が下落。日米関税交渉に対する警戒感が和らいだことや、為替についての議論が持ち越されたことによるリスク選好の株高・円安が重しになった。残存期間5年超15.5年以下の流動性供給入札が弱い結果となり、午後に下げ幅を拡大した。

一方、超長期債には持ち高調整の買いが強まる場面も見られた。日銀の植田和男総裁の国会答弁や中川審議委員の講演・会見に対する反応は乏しかった。

三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは、日米協議は最悪の展開は避けられた印象で、「過度の警戒感が緩み、先物に売りが出た」と指摘。為替についての協議は「本当になかったのか分からず、来週に加藤財務相が議論することには変わりない」と述べた。

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この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:日高正裕、船曳三郎、我妻綾、アリス・フレンチ.

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