中国系の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」は今、「中国から商品を直接購入して、トランプ米大統領の対中関税を乗り越えよう」と米国のユーザーに呼びかける中国人インフルエンサーの動画であふれている。

こうした動画は、ルルレモン・アスレティカやナイキなど米国の一流ブランドに製品を供給しているとされる中国の工場で主に撮影されたものだ。

多くの中国人インフルエンサーは「世界の工場」である中国で米国の消費財の大半が製造されていることを「暴露」しようとし、TikTokユーザーが直接サプライヤーに注文できるようウェブサイトのURLや連絡先などの情報を伝えている。

高級ハンドバッグを販売するあるクリエーターは「なぜ直接連絡して、私たちから購入しないのですか。 きっとその価格に驚くと思いますよ」と語りかける。

別のTikTokクリエーター「@LunaSourcingChina」は、米国で100ドル(約1万4300円)以上で販売されているルルレモンのヨガ用レギンスを5、6ドル程度で製造しているという工場を外から撮影した動画を配信した。

ルルレモンの広報担当者は、完成品の約3%を中国本土で製造しているが、正規品はルルレモン店舗と公式ウェブサイト、そして正規の販売パートナーでのみ購入可能だと説明した。

最も人気の高い動画の幾つかは「中国が真実を暴露」というタイトルの動画によってさらに拡散された。こうした人気動画の多くは3月にアップロードされたが、最近になって注目を集めるようになった。

ルルレモンの中国サプライヤーを撮影したとする動画は260万回再生され、21万5000件以上の「いいね」を獲得。また、「関税を回避する方法」という動画は100万回近く再生され、11万8000件の「いいね」を得ている。

短期間に同じテーマの動画が大量に投稿されたことは、中国製品に145%の関税を課すなど、トランプ大統領が次々と関税を発動していることに対する反発が強いことを示している。

だが、中国のサプライヤーに直接注文することで、米国の消費者が関税を回避できる仕組みは不明だ。5月2日からは米国の一般家庭に送られる小包に対する関税免除措置も廃止される。

こうした投稿の急増は、中国の動画クリエーターが一般米国人の日常生活に一段と関与するようになっていることを示している。何百万人もの米国人ユーザーが目にする情報を左右するTikTokのアルゴリズムのような力こそが、中国の字節跳動(バイトダンス)にTikTokの米事業売却を義務付けるよう米国を動かした要因だ。

TikTokはコメント要請にすぐには応じなかった。

ラトガース大学のネットワークに関する研究所で上級顧問を務めるアレックス・ゴールデンバーグ氏は「トランプ大統領の対中関税政策を意図的に弱体化させるためのキャンペーンであるように見える。TikTokを利用して、貿易の制約にもかかわらず、中国製品をより安く、より望ましい、入手しやすいものとしてアピールすることで、中国の製造業を促進しようとしている」との見方を示した。

トランプ大統領が仕掛ける貿易戦争の背後には何があるのか

原題:Chinese Suppliers Mock Tariffs on TikTok With US Brand Deals (2)(抜粋)

--取材協力:Annabelle Droulers、Daniela Wei、Zheping Huang、Omar El Chmouri.

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