(ブルームバーグ):世界最大級の上場投資信託(ETF)が9日、純資産価値(NAV)を大きく上回る価格水準となった。乖離(かいり)幅は2008年以来の大きさで、この日の株式相場急反発が異例の価格形成を招いた。
米国株指数に連動する投資成果を目指すETF「SPDR・S&P500ETFトラスト」(SPY)は同日、NAVを約90ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上回る水準で取引を終えた。
SPYの資産規模は5760億ドル(約82兆5000億円)。ブルームバーグの集計データによれば、9日のSPY上昇率は10.5%と16年ぶりの大きさとなった。
SPYの価格・NAVは、過去10年間を平均するとほとんど乖離がない。20年の新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)時に開きが大きくなる局面はあったものの、9日ほど広がらなかった。
弱気ポジションを解消するトレーダーの動きが、9日午後のSPYへの資金流入につながった公算が大きい。

SPYは流動性の高さで知られるETFだ。ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのSPDR米州調査責任者マット・バルトリーニ氏は9日の動きについて、取引終了時の取引量が通常の約3倍となり、NAVに対して価格が大きく上昇した要因になった可能性が高いと説明している。
トランプ政権による貿易政策の波紋が、こうした極めて流動性の高い投資ツールを揺さぶっている。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアタナシオス・プサロファギス氏は、「今後、SPYや他のETFで乖離が広がり得る。パニックに陥った市場では珍しいことではない」とコメント。「とはいえ、ETFは非常にうまく対処している」とも指摘した。
原題:A $576 Billion Stock-ETF Juggernaut Hit by Extreme Dislocations(抜粋)
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