11日の東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=143円台後半と昨年10月以来の水準に上昇。トランプ米政権の対中関税が合計で145%となることが分かり、米中貿易摩擦の激化が警戒されてドル売り・円買いが強まっている。

三井住友信託銀行米州部マーケットビジネスユニットの山本威調査役は、足元のドル・円は米株価に準じて動いており、株安が進む場面ではドル売りが強まりやすいと指摘。米国の経済統計が強くても関税の影響が反映されておらず、良い材料と捉えられない可能性が高い上、ボラティリティー(変動率)も高く短期的なドルの上値は重そうだと言う。

10日の海外市場で円は1ドル=144円02銭まで上昇した。トランプ米大統領による関税策を受けて主要通貨に対して円が総じて買われ、円高・ドル安が進んだ。米ダウ工業株30種平均は前日比1014ドル79セント(2.5%)安と反落した。米10年国債利回りは9ベーシスポイント(bp)高い4.42%程度。ブルームバーグ・ドルスポット指数は低下した。

野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは11日付リポートで「米株安にもかかわらず超長期を中心に米債券が売られ、ドルが売られるトリプル安が再開」と指摘。「米資産とドルへの信認毀損(きそん)と米国からの資金流出リスクの高まりが示唆される」とした。

 

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