(ブルームバーグ):ヘッジファンド会社ブリッジウォーター・アソシエーツ創業者で富豪のレイ・ダリオ氏は、今週の世界的な市場の混乱により、投資家は「トラウマやショック、恐怖といった要素」を抱えていると述べた。
同氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「米国の信頼性に対する心理や姿勢に極めて大きな影響を与えた」と述べ、「もっとうまい対応があったはずだ」とも語った。
世界で最も安全とされてきた米国資産から投資家が離れつつあるのか、その兆候を見極めるにはドル下落や米30年債と10年債の比較を注視することが有効だと、ダリオ氏はみる。同氏は「本当に懸念しているのは、債券の基本的な需給バランスだ」と述べた。
もしトランプ米大統領が関税政策を後退させていなければ、一部の投資家は過剰に反応していたかとの問いに対し、ダリオ氏は「そうしていた投資家も間違いなくいただろう。それは関税という理由だけでなく、資本市場への影響もある」と述べ、「資本市場が引き締まると、それを加速させるようなスパイラルが生まれる」とも続けた。
トランプ氏が9日、複数の関税計画を90日間停止することを承認したことに反応し、株式と債券は大幅に上昇したが、高揚感は急速にしぼみ、投資家は再びリセッション(景気後退)の可能性や企業の倒産増加を懸念している。ダリオ氏は今週、投資家が関税という狭いテーマに目を奪われ、金融、政治、地政学的な秩序で起こっている「一生に一度あるかないか」の大崩壊に十分な注意を払っていないと指摘していた。
同氏はインタビューで「リセッションに陥る可能性が高い」との見方を示し、金融や政治、地政学的な対立が自ら深刻化しているとして、こうした対立がもたらすより深刻な影響を懸念していると述べた。
さらに「これは通常のリセッションとは異なる状況」であり、「われわれは金融秩序を変えつつある」と述べた。
原題:Ray Dalio Says Tariff Turmoil Hurt US Reputation for Reliability
(抜粋)
--取材協力:Nishant Kumar.
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