(ブルームバーグ):米ゴールドマン・サックス・グループのトレーディングデスクでは3日、機関投資家が資産配分を見直し、大幅な入れ替えを行う日(リバランスデー)を除き、ほぼ「前代未聞」と言える取引水準を記録した。トランプ米大統領の「相互関税」発表を受け、顧客が株式の投げ売りに動いた。
ゴールドマンのパートナーで、トレーディングスペシャリストのジョン・フラッド氏は「中国の人工知能(AI)スタートアップ企業DeepSeek(ディープシーク)が1月後半にグローバル市場を動揺させて以来、デスクの最も忙しい1日になった」と顧客向けリポートで説明した。
トランプ政権が貿易相手国に課す高率の相互関税発表が引き金となり、米株相場は急落。S&P500種株価指数は過去5年で最悪の下げに見舞われた。ドルは下落し、米10年国債利回りは一時4%を下回った。
サプライチェーンの混乱を招くだけでなく、米経済がリセッション(景気後退)に陥り、インフレも再燃しかねないと不安が高まった。
国際貿易システムをトランプ氏が本気で覆そうとする厳しい現実が市場に浸透し、東京からロンドン、ニューヨークに至るまで、世界中の取引フロアの画面に売り注文が点灯した。少なくとも今のところ、株式相場暴落の不安が大統領を思いとどまらせることはなさそうだ。
「デスクの取引水準は10段階で9.5に相当し、きょう全米の証券取引所で200億株近くが取引されても驚かない」とフラッド氏は指摘した。同氏によれば、150億株が今年の平均だ。
テクノロジー・金融銘柄に集中した資産運用会社からの売りが最も激しかった。短期スパンで取引を行う「ファストマネー」は、先月の段階でポジションを大幅に減らしていたが、それでも今回の売りの流れに加わったという。

ゴールドマンによると、ヘッジファンドは2日の米相互関税発表を前に積み上げた銀行株のロングポジション解消に動いた。ショートサイドでは、インデックスや上場投資信託(ETF)といったマクロ金融商品のポジションを増やしたとフラッド氏は分析した。
コロンビア・スレッドニードルの金利ストラテジスト、エド・アルフセイニ氏は「あらかじめ負の衝撃を完全に織り込む必要がある。結局これは税金であり、誰が払うかは不確かだ。いずれにせよ成長にプラスと捉えることはできないと思う。短期的には成長にマイナス、インフレにプラスだ」と見解を示した。

原題:Goldman Trading Desk ‘9.5 Out of 10’ on Activity Level Amid Rout、Wall Street Trading Desks Stunned by Once-a-Century Tariff Shock(抜粋)
(ストラテジストの見解などを追加して更新します)
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.