アマゾン・ドット・コムは、人気の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の米事業買収をホワイトハウスに提案した。内情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

アマゾンは、今週の期限までにTikTokの米事業売却を実現させる取り組みを率いているバンス副大統領と、ラトニック商務長官に宛てた書簡で買収提案を行ったという。

だが、アマゾンの提案はトランプ政権側では真剣に検討されていないと、匿名を条件に関係者が明らかにした。アマゾンはコメントを控えた。同社の買収提案については、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が先に報じていた。

報道を受けて、アマゾン株価は一時2%上昇した。

アマゾンの買収提案が政権内で支持を得られなかったとしても、同社が関心を示すことによって、他の買い手候補に対して買収価格を引き上げるよう促す圧力となり得る。またアマゾンは交渉に関与することで、TikTokの財務状況、とりわけアマゾンの電子商取引(eコマース)事業と競合する「TikTok Shop」の業績について情報を入手できるかもしれない。

TikTokの今後を巡って、トランプ米大統領は2日午後にバンス氏ら政権高官と会合を開く予定。トランプ政権は他の提案についても検討しており、オラクルとブラックストーン、場合によっては他の投資家も合弁事業に参加する案も含まれている。これについてはブルームバーグがこれまで報じている。

TikTokは中国の字節跳動(バイトダンス)が所有しており、米議会は昨年、安全保障上の懸念から事実上のTikTok禁止法を成立させた。新法では米企業に売却しない限り、米国でのTikTok利用を禁じる。トランプ氏は1月の就任直後、売却の期限を当初の1月19日から4月5日に延長した。ただ、必要なら期限を延長する構えを示している。

トランプ氏が買収提案を承認したとしても、TikTokの親会社であるバイトダンスと中国政府の承認が依然として必要だ。バイトダンスや中国当局が現在の協議に関与しているかどうかは明らかになっていない。

別の買い手候補である富豪のフランク・マッコート氏は2日、自身のTikTok買収案は引き続き有効だと述べたが、5日までに合意に至る可能性は低いとみていると述べた。

原題:Amazon Submits Bid for TikTok With US Sale Deadline Nearing (1)(抜粋)

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