(ブルームバーグ):JX金属の大型新規株式公開(IPO)を終え、投資家の関心はソニーグループが10月に予定する金融子会社ソニーフィナンシャルグループ(FG)のスピンオフ上場に移り始めた。時価総額はJX金属を上回る1兆円規模との見方がある。
ソニーGは2020年に完全子会社化したソニーFGの株式80%超を10月に現物配当で株主に分配し、同社を部分的に売却する計画だ。2月の決算説明会では5月下旬に事業方針や上場スキームなどについて説明するとしており、広報担当者は現時点でこの方針に変更はないと話した。

三菱UFJアセットマネジメントの友利啓明エグゼクティブファンドマネジャーの試算によると、ソニーFGの時価総額は1兆円を上回る可能性がある。
日本銀行の利上げで国内金利は上昇傾向にあり、業績面での追い風が吹く。金利先高観がある中で金融関連の新たな投資先が増えることは、投資家にとってもメリットだ。
アセットマネジメントOneの岩本誠一郎ファンドマネジャーは、「金融セクターは金利正常化の中で成長分野となるだろう」と指摘。ソニーFGには「ネットの優位性がある」とも評価している。
スピンオフ(分離・独立)を巡っては、経営や資本の独立、上場による一層の企業価値向上につなげようと、経済産業省も譲渡損益課税の繰り延べなど税制優遇措置を講じ、活用を促してきた経緯がある。
総合化学メーカーのレゾナック・ホールディングスも石油化学事業を26年以降にスピンオフさせることを表明している。急拡大する人工知能(AI)需要に対応するため、半導体・電子材料事業へ集中的に投資する構えだ。また、昨年10月にはパソコン周辺機器を手掛けるメルコホールディングス(現バッファロー)の子会社で、製麺事業を手がけるシマダヤが東京証券取引所に上場した。
GCIアセット・マネジメントの池田隆政シニア・ポートフォリオ・マネジャーは「日本には業態転換が必要な企業が多い」と指摘。規模が大きく古い業態の企業を中心に、「事業再編の一環としてのスピンオフは今後あるだろう」と述べた。
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