(ブルームバーグ):工作機械メーカーの牧野フライス製作所に提案している株式公開買い付け(TOB)の実施日が4日に迫っている中、ニデックが予定通りTOBを実施するかなどについて最終決定するのは同日朝になる見通しだ。
永守重信グループグローバル代表が明らかにした。牧野フはTOB開始を5月9日以降に延期することを要請、受け入れられなかった場合の対抗策も公表していた。永守氏は2日朝の取材に、「4日の朝にその時の情勢を見て決める」と述べ、TOB価格など成立条件については変更しない考えを示した。
創業者の永守氏は過去70件以上の企業買収・合併(M&A)も活用し、一代で会社を大きく成長させてきた。これまで相手先の経営陣と長時間の対話を重ねて買収を成功させてきた同社だが、事前協議のないTOBとなった今回は牧野フ側の反発もあって難航。永守氏は「最後の最後まで分からない」との見通しを示した。
ニデックは2024年12月、事前協議を行わない形で牧野フに買収提案した。約2573億円を投じて牧野フを完全子会社化することで企業価値を高められると主張している。TOB成立の下限についても、牧野フから総議決権数の3分の2相当への引き上げを求められていたが、50%を維持する見通しだ。
TOBを巡る主な経緯
牧野フは3月10日、複数社から買収に関する初期的な意向表明書を受け取ったと発表。TOBの開始時期の延期についても再三要請しており、延期されない場合、既存株主に新株予約権を無償で割り当てる対抗策の方針を19日に発表していた。
牧野フを巡ってはアジア系投資ファンドのMBKパートナーズや日本産業推進機構(NSSK)を含む複数の投資ファンドが、それぞれ牧野フの買収を検討している。ニデックが譲歩せずに予定通りTOBに踏み切れば、買収合戦に発展する可能性もある。
牧野フは金属部品加工や金型鋳造に欠かせないマシニングセンターの主要メーカーの一つ。ニデックは発表資料の中で、非常に高度な加工技術力をベースにマシニングセンター市場で確固たる地位を築いていると評価している。
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