(ブルームバーグ):米プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社大手ウォーバーグ・ピンカスは、日本国内の不動産やPE取引を拡大して海外投資家のニーズを取り込むため、年内に都内に拠点を開設することを計画している。
ウォーバーグは2日、米投資ファンドのローン・スターから首都圏にあるシェアハウス1195棟をまとめて取得したことを明らかにした。取得額は開示していない。これらの物件はかつて「かぼちゃの馬車」という名称でシェアハウス事業として運営されていた。
同社日本代表でアジア不動産部門共同責任者を務める村田貴士氏はインタビューで、東京オフィスの開設を明らかにした上で、「日本全体では人口が減少しているが、首都圏の成長を強く確信している」と強調。今回の案件は「日本への外国人流入というテーマにも当てはまる」と述べた。

物件取得者への不正融資がに問題となったことから、ローン・スターは2022年に、かぼちゃの馬車事業向けの債権をスルガ銀行から買い取り、若者向けの新ブランド「TOKYO<β>(トーキョーベータ)」に衣替えし運営していた。村田氏によると、同事業では計1万6000室超の部屋が稼働率90%程度で運営されているという。ウォーバーグは取得後も同ブランドでの事業拡大を目指す。
キッチンやバスルームが共用で、入居者は自由に期間を設定して柔軟に部屋を借りることができるのが特徴。学生や若い社会人、初めて日本に住む外国人などに人気がある。村田氏は過去の問題は現在のシェアハウスの運営には影響しないと述べた。
日本の不動産市場は、為替の円安や欧米などに比べて引き続き低い金利などを背景に、海外投資家からの資金流入などで取引が活発化している。ウォーバーグは都内にある18階建てのオフィスビル「品川シーサイドウエストタワー」も取得した。
村田氏はまた、上場に近い「レイターステージ」にあるスタートアップ企業への投資機会を模索する方針も明らかにした。
村田氏は米ゴールドマン・サックス・グループで25年間勤務した後、昨年ウォーバーグに入社した。日本での投資案件について継続的なパイプライン構築に取り組んでいるとし、「非常に忙しく、上手くいけばチームもさらに大きくなるだろう」と語った。
ウォーバーグは1994年にアジア市場に参入し、260社を超える企業に320億ドル(約4兆7900億円)近くを投資してきた。
(最終段落に背景を追加します。更新前の記事は会社の申し出により、スタートアップ投資に関する記述を一部削除済みです)
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