(ブルームバーグ):世界2位の経済大国である中国では、不動産不況にまだ底打ちの兆しが見えない。新築住宅販売が再び減少に転じたほか、不動産開発大手の万科企業は記録的な赤字を計上した。
一時期安定していた新築住宅販売額は3月に11%減少。一方、万科は昨年に495億元(約1兆円)の損失を計上した。通期の損益が赤字となったのは1991年の上場以来初めて。
国内需要の低迷と脆弱(ぜいじゃく)な雇用市場が引き続き中国不動産業界の重しとなっている。政府が昨年打ち出した支援策によって中古市場には一部買い手が戻ってきたものの、デベロッパーが予定通りにプロジェクトを完成させる能力については警戒感が根強く、万科などの企業の販売に打撃を与えている。
クレジットサイツ・シンガポールのアジア戦略責任者、ツェリーナ・ツェン氏は「一級都市の住宅販売のグリーンシュート(芽吹き)が持続し、全国的に拡大するかどうかは依然として極めて不透明だ」と指摘した。

最新の民間指標は中国不動産市場の回復が失速したことを示唆している。中国房産信息集団(CRIC)の暫定データによれば、大手不動産会社100社による3月の新築住宅販売額は3180億元と、前年同月から減少。2月は1.2%増加していた。
また、中指控股(チャイナ・インデックス・ホールディングス)によれば、中古住宅価格は3月に0.59%下落と、2月の0.42%下落から下げが加速した。
デフレ圧力や貿易戦争で経済の低迷が進む中、当局はこれらの問題の対策を図っている。
しかし、ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリスト、クリスティ・ハン氏は、「構造的な問題は引き続き、中国の新築住宅販売の3分の2を占める二級都市と下級都市の重しとなるだろう」と分析した。
原題:China Property Pain Worsens With Sales Slump, Vanke Loss (1)(抜粋)
--取材協力:Foster Wong、Jing Jin.
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