(ブルームバーグ):1-3月(第1四半期)の米株式市場には関税を巡る不確実性や米政府支出削減、リセッション(景気後退)の脅威が影を落としたが、ナスダック100指数を最近直撃したのは人工知能(AI)バブルへの警戒感だ。
ハイテク株の比重が高いナスダック100指数は1-3月期に8.3%下落し、この約3年で最悪の四半期となった。データセンターインフラに流入する数千億ドルの資金が引き揚げられるかもしれないとの懸念が、先週発せられた2つの警告で強まった。回復の兆しが見え始めていたところで売り圧力が再燃し、投資家は再び身構えた。
最近まで上げを主導してきた銘柄の下げが目立っている。半導体メーカーのエヌビディアは1月のピークから28%下落し、同業ブロードコムも昨年12月の上場来高値から33%下げた。マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、アルファベット、メタ・プラットフォームズもそれぞれ上場来高値から20%以上、下振れしている。
ナスダック100指数は3月31日にほぼ横ばいで引けたが、一時2.5%安となった。トランプ米大統領が4月2日に発表を予定している関税が経済に打撃になるとの懸念が広がった。

ボストン・パートナーズの世界市場調査担当ディレクター、マイケル・ムラニー氏は「全般的に不確実性が高まっているタイミングで、AIへの疑念が広がった。AIが完璧またはそれに近い水準で評価されていた時でもある」と指摘した。
AI自体とAIがもたらす将来の利益に対する期待から、大手ハイテク株はこの2年半、米国株上昇をけん引してきた。AIモデルを構築する企業は、その訓練・運用に必要な半導体とデータセンターに巨額の投資を進めている。
ナスダック100指数は2月のピーク時点で、2022年12月に付けた安値の2倍強に達した。ブルームバーグの集計データによると、同指数の予想株価収益率(PER)の平均は24倍と、先月の27倍から低下したものの、過去20年間の平均(約20倍)をなお大きく上回る。

AIを巡る最近の懸念は、アリババグループの蔡崇信(ジョー・ツァイ)会長が先週、AIサービス需要を上回るペースで新たな施設が構築されていると発言したことがきっかけ。それと前後して、データセンター向けに自社だけで今年度800億ドル(約12兆円)の支出を予定しているマイクロソフトが、供給過剰で米国と欧州の新規プロジェクトから撤退するとのアナリストリポートが公表された。
原題:Nasdaq 100’s Worst Quarter in Years Sealed by AI Bubble Fears(抜粋)
--取材協力:Carmen Reinicke.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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