米投資会社ブラックストーンは、旗艦バイアウトファンドでの資金調達を終了する。実施期間が予定以上に長引いただけでなく、調達規模も当初の想定を数十億ドル下回った。

事情に詳しい関係者によると、2022年に資金調達を開始したブラックストーンは、投資家に今年3月末ごろに終了すると伝えた。関係者は非公開の情報だとして匿名を条件に話した。これまでに確保した資金は210億ドル(約3兆1500億円)余り。過去1年に資金調達を実施した買収ファンドは、平均でこの半分程度の期間で調達を終えている。

ブラックストーンはコメントを控えた。

 

借入金で企業を買収し、その後売却して利益を得るという従来からのプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資戦略に対し、年金基金や大口投資家からの信頼は損なわれている。背景にあるのは高金利だ。米コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーがまとめた2月の報告書によると、業界の資金調達額は24年に3年連続で減少した。

ブラックストーンが資金調達に向けて準備を開始したのは、米金融当局がインフレ退治のために利上げを開始する直前だった。機関投資家の手持ち資金が減少した時期と重なり、資金調達を巡る競争は激化していた。ブラックストーンは当初、23年上期までに資金調達を完了する予定だと投資家に説明していたが、もう少し時間が必要だとして完了予定を同年下期に先送りし、その後も調達を続けた。

同社はまた、調達額の見通しも修正した。ブルームバーグは21年後半にブラックストーンは最大300億ドルを調達する可能性があると報じたが、23年に同社は従来の旗艦ファンドと同レベルの250億ドル程度の調達を示唆した。そして昨年初めには目標額は少なくとも200億ドルとなった。

さらに新たな課題も出てきた。金利上昇やトランプ米大統領の貿易戦争がディール復活にとって脅威となる中で、大型買収が引き続き予想以上の利益を実現できると証明することが難しくなりつつある。

バイアウト企業は投資家への資本還元に苦戦している。年金基金などは、新たなファンドに資金を投じるだけの十分なリターンを得ていない。投資家はより慎重になり、企業収益が実力によるものなのか、金融工学を駆使した結果なのか、それもと単に幸運だったのかなどと厳しく精査している。

原題:Blackstone Buyout Fund Is Closing Late and Below Earlier Goals(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.