(ブルームバーグ):来週の円相場は下落しそうだ。米国で4月2日に相互関税や追加のセクター別関税が課される見通しで、世界経済の不確実性が高まりドル優位に働くとの見方がある。先物市場で積み上がった円ロングポジション(買い建て)の解消が進む可能性がある。
市場関係者の見方
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長
- 関税による不確実性があまりにも大きい。米国は不安要素を抱えつつも実体経済はそこまで悪くなく、ドルの方が優位
- 日本銀行の植田和男総裁は4月初めに関税が発動された後は視界が晴れてくると発言したが、それは難しいだろう
- 円ロングポジションを持ち続けることはリスクが高い、ポジション解消で円は売られ1ドル=150円割れは遠い印象
りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジスト
- 関税の内容が警戒されたほど過大でなければドル高・円安、市場が悲観的になる中で米経済指標が悪ければドル安・円高になると予想
- 1ドル=147-153円程度のレンジで上下両方向をみておきたい
- 円は売られてもボラティリティーが低く、激しい動きにはならない
- 投機筋の円ロングポジションは日米金融政策の見通しを背景に積み上がっているとみられ、見通しに大きな変化がない限り解消は一気に進まないだろう
外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長
- 関税のドルへのインプリケーションは米インフレの高止まりによるドル高と、個人消費の落ち込みによる米景気悪化のドル安の両面がある
- 4月2日の関税発動で1ドル=152円を超えてドル高・円安が進めば、投機筋が円を売り戻す動きが加速する
- ポジションを急いで解消する必要がある投資家の取引は終わっており、152円を超えなければ一気に円ロングが吐き出されることはない
来週の主な予定
- 1日:日銀の企業短期経済観測調査(短観、3月調査)
- 1日:2月の米求人件数、3月の米ISM製造業景況指数
- 2日:米国が相互関税と追加のセクター別関税を賦課
- 3日:3月の米ISM非製造業総合景況指数
- 4日:3月の米雇用統計、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が講演
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